佐藤孝幸さんの『出世するなら会社法』を読んでみた
佐藤さんの『出世するなら会社法』を読んでみた
(5つが最高)
出世するのに会社法が必要だなんて私は思わないが
出世した人が会社法について、ちょっと学んでみようと
いうときには、このような本が興味深く読めるのかも
しれないとは思う。
また、会社を自分のものだと勘違いしている経営者や
株主のものだと主張して強引なリストラを正当化する
頭の弱い人には、本書にあるような「株主」の理解は
きわめて有用だと思う。
この本では、「株主」とは、株式会社の所有者ではなく、
「株式」の所有者であって、株主が会社に対して持って
いる権利は所有権ではなく、株主権という特別な権利
であるとしている。
そして、株主平等の原則に触れた後、示される例外は
この本らしい明快さで、特に参考になる。
『株主平等の原則の例外が許されるケース
・株主優待制度
・敵対的買収によって会社の企業価値が毀損され、
会社の利益・株主の共同の利益が害されることに
なるような場合に、その防止のために特定の株主を
差別的に取り扱う場合』
また、少数株主の権利に触れた後、その保護の限界と
して示される方法は、最近多くなったMBOなどでも利用
されるようになる方法なのかもしれない。
『少数株主保護の限界
TOBなどにより3分の2以上の株式を取得した
多数株主による以下のケース
・株式交換の際、交換比率を調整することで少数
株主には親会社株式の端数を現金で交付する
ことで締め出す
・普通株式を全部取得条項付種類株式にしたうえで、
株式の取得に際し、少数株主に対価として交付する
株式が1株未満となるように調整することで、少数
株主には現金を交付することで締め出す』
とにかく薄いので、会社法に興味がある人には、
どこからでも気軽に読み始められるので楽しいだろう。
ただ、細かな条文を知りたい人向けではない。
【目次】
第1章 役員になることは会社人生のゴール?
第2章 なぜ株主総会では社長が株主に叱られるのか?
第3章 一寸の虫にも五分の魂
第4章 ワンコイン起業の行く末
第5章 親はなくとも子は育つ
第6章 ブルドックソース事件の謎
第7章 新株発行と株価の怪しい関係
第8章 会社の命が尽きるとき
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