古賀茂明さんの『日本中枢の崩壊』を読んでみた
古賀さんの『日本中枢の崩壊』を読んでみた
(5つが最高)
この本は、自らも官僚でありながら行政改革を行おうと
真剣に取り組んだ古賀さんの本である。
あまりにも有名になってしまったため、古賀さんに対し
批判的なことを言う人も出てきたが、そんな中でなお
この本は読むべき価値があると思う。
なぜなら、批判者のほとんどが傍観者であるのに対し
古賀さんは職を辞してまで、改革に実際に取り組んで
いるからである。
この本にあるようなことは、官僚批判を繰り返すマス
コミの文章に接したことがある人には想定の範囲内
ではあるのかもしれないが、経験談としてや資料と
しての価値は、今なお高いと思う。
また、改革が進まないこと自体は古賀さん一人のせい
では当然なく、民主党に投票したかどうかに関わらず
このような政治体制を容認してきたのが私たち有権者
であることを考えれば、改革のための提言としては、
まだこれからその成否が試されるというところだろう。
確かに、この本を読むかぎり官僚の腐敗ぶりはひどく
改革は困難であるという印象を受ける。
そんな中でも、私がこの本で最も官僚の怖い点として
読んだのは、P196からの民主党の長妻氏を邪魔者に
する財務省の考え方である。
財務省が長妻氏を邪魔者と考えた理由が、国税庁と
社会保険庁を統合し「歳入庁」を設置するという案を
長妻氏が持っていたからというもの。
財務省が絶対に受け入れられない改革というのが
国税庁を切り離されてしまうことだというのである。
理由は簡単で、国税庁はその気になれば、普通に
暮らしている人を脱税で摘発し、刑事被告人として
告訴できるだけでなく、査察でさまざまな資料を得る
ことができるだけでなく、後々の脅しの材料に使う
ことまでできるためらしい。
私はこの本を読むまでは、長妻氏のことをマスコミが
書くように、批判は上手いが実際に自分がやるとなる
と意外に下手な人なのかと単純に思っていたが、
ここに書かれたことを読むかぎり、そう単純な話では
ないようである。
政治に再び関心を持つようになるという意味でも
とてもいい本である。
【目次】(「BOOK」データベースより)
序章 福島原発事故の裏で/第1章 暗転した官僚人生/第2章 公務員制度改革の大逆流/第3章 霞が関の過ちを知った出張/第4章 役人たちが暴走する仕組み/第5章 民主党政権が躓いた場所/第6章 政治主導を実現する三つの組織/第7章 役人ーその困った生態/第8章 官僚の政策が壊す日本/終章 起死回生の策
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