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2012年2月12日 (日)

牛越博文さんの『これだけは知っておきたいドラッカー』を読んでみた

牛越さんの『これだけは知っておきたいドラッカー』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、正直言っていまだにドラッカーの著作が

きちんと読めない私にも、その全体像と見取り図を

教えてくれる、とても参考になる本である。

何度もやって来るドラッカーブームにもかかわらず

まったくその著作の面白さが分からず、何が言いたい

のか疑問に思っているような人には、必ず読んで

欲しい1冊である。

ドラッカーを読む上でのポイントになる箇所を

私なりに抜き出してみると次のとおり。

①「企業の目的は、顧客の創造にある」

②「企業は、自らの社会に与える影響について
 できるだけ広く捉え、その影響について責任を
 持つべきだ」

③組織を動かす際の自由と責任、その方法論を
 徹底して考え抜いたのが、ドラッカーです。

④ドラッカーの主張を極限まで要約し、二段階に
 分けて言うと、以下のようになります。
 1.本当の経営者はイノベーションを起こす。
 2.イノベーションを起こすには、組織を
   マネジメントする必要がある。

⑤ドラッカーがベースにしたシュンペーターの
 イノベーションは次の5つ
 1.新しい製品を生産すること
 2.新しい生産方法を導入すること
 3.新しい販売先を開拓すること
 4.新しい仕入先を獲得すること
 5.新しい組織を実現すること

⑥ドラッカーのイノベーションの目的はあくまでも
 「顧客の満足度を上げる」ことにある

⑦コスト削減のためにリストラをすることは間違っている
 赤字であっても社員の給与を下げなければ乗り切れ
 ないような経営者は、まず自分が去るべきである。

⑧イノベーションのチャンスは次の7つ
 1.予想しなかったことが起こったとき
 2.なんらかの差がわかったとき
 3.プロセスのニーズが現れたとき
 4.産業と市場の構造が変化したとき
 5.人口の構成が変化したとき
 6.ものの考え方・見方や気持ちが変化したとき
 7.新しい知識が生まれたとき

⑨「本当の経営者は、よく考えずに行動する」
 自分の見たままに、感じたままに行動する。

⑩未来は誰にもわからないが、自己実現に
 成功した人はある〈方法〉をとっている、
 その方法こそマネジメントです。
 マネジメントは、絶対真理ではなく一つの
 方法論に過ぎません。

⑪経営者が何の価値観も持たずにあるがままを
 見るだけでは、やがて道に迷ってしまいます。
 かといって、未来を予測しようとすると、それは
 誰にもわからないので、やっぱり道に迷って
 しまいます。だから、組織の目指す目的地が
 必要です。その目的地が「顧客の創造」であり、
 これは「便宜上」打ち立てられたものなのである。
 なぜなら「絶対真理」はないからです。

⑫知識社会とはどのようなものか。
 1.自由放任の時代から福祉国家の時代へと変わり、
  価値観は個人的なものから社会的なものに変わった。
 2.資本主義社会から知識社会へと変わり、資源が
  資本・労働・土地から知識に変わった。

⑬経営者への5つの質問
 組織のマネジメントについて経営者が自らを
 評価するための問い
 1.我々のミッション(使命)は何か
 2.我々の顧客は誰か
 3.顧客は何に価値を感じているのか
 4.我々にとっての成果は何か
 5.我々のプランは何か

⑭経営者は、専門知識を使って成果を上げる人を
 評価します。
 知識労働者が働く理由は自己実現なので、
 仕事で成果を上げたかどうかは、自己実現
 したかどうか、とイコールになります。
 自己実現はミッションへの貢献によってなされ
 るので、どのくらいミッションに貢献したかが、
 成果の評価になります。
 ミッションは売上や利益ではありません。

⑮経営者が成果を評価するのは、賃金を決める
 ためではなく、社員と組織がどれだけ自分の
 強みを発揮しているかを知るためである。

⑯経営者が初めから持っていなければならない
 資質が一つだけある。それがintegrityです。
 integrityは「真摯さ」「誠実さ」「邪心がない」
 「汚れがない」という意味です。

この本を読んでようやく、ドラッカーが本当は

何を言いたかったのかが分かった気がした。

ドラッカーの読みにくさは、「これだけは知って

おきたい」ことをまとめて提示してくれない点にある。

それが、何度読んでも新しい発見がある

ドラッカー本の人気の秘密でもあるのだろうが、

私のようなものには、こういう本こそ有難い。

ドラッカーブームに何度も乗り損ねた人にこそ

ぜひおススメの1冊である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
はじめに いま、なぜドラッカーなのか/第1章 イノベーションとは何か(イノベーションとは-/まやかしのイノベーション ほか)/第2章 どのようにイノベーションを起こすのか(経営者は全体を「直観」する/方法にはうまいコツがある(「組織のマネジメント」) ほか)/第3章 マネジメント(我々のミッション(使命)は何か/我々の顧客は誰か ほか)/第4章 知識労働者

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