上田惇生さんの『ドラッカー入門』を読んでみた
上田さんの『ドラッカー入門
万人のための帝王学を求めて』を読んでみた
(5つが最高)
この本は、ドラッカーのその主要作品のすべてを
長年にわたり翻訳してきた著者による解説である。
ドラッカーの分かりにくさを丁寧に解体して見せる
さまはさすがだが、予備知識なしに飛び込むと
ドラッカーの著書の難しさそのままに、面白さが
分からずに終わってしまうので、牛越博文さんの
『これだけは知っておきたいドラッカー』とあわせて
読むと理解が深まる1冊であると思う。
ドラッカーを読む上でのポイントになる箇所を
私なりに抜き出してみると次のとおり。
①社会的存在としての人は、社会として機能する
社会を必要とする。それでは、社会が機能する
ための条件は何か。第一に、そこにいる人たち
全員に位置づけがあることである。第二に、
全員に役割があることである。第三に、そこに
ある権力に正統性があることである。
②未来について言えることは二つしかない。
第一に、未来はわからない。第二に、未来は
現在とは違う。
従って未来を知る方法も、二つしかない。
一つは、すでに起こったことの帰結を見ること
である。彼独自の予測にしても、すでに起こった
ことの帰結、つまりすでに起こった未来を知らせる
に過ぎない。
未来を知るもう一つの方法は、自ら未来をつくる
ことである。
③ポストモダンのための方法論をまとめるならば、
次の7つの作法になる。
1.見ること
2.わかったもの使うこと
3.基本あるいは原則となるものを知って使うこと
4.かけたものを探すことです
5.自らが陳腐化の主導権を握ることである
6.仕掛けを作っておくこと
7.限界をわきまえつつ、モダンの方法を使うこと
④マネジメントについての3つの役割
1.それぞれの組織に特有の社会的機能を
まっとうすること
2.組織に関わりをもつ人たちが生き生きと生産的に
働き、仕事を通じて自己実現できるようにすること
3.社会的責任を果たすこと
⑤マネジメントが目標を設定するべきは、
1.マーケティング
2.イノベーション
3.生産性
4.人材
5.物的資源
6.資金
7.社会的責任
そして、「条件」としての利益である。
⑥チェンジ・リーダーたるための4つの条件。
1.既存のものの廃棄
2.日々のカイゼン
3.成功の新展開
4.価値を創造するためのイノベーション
⑦イノベーションの7つの種
1.予期しなかったことが起こったとき
2.ギャップがわかったとき
3.ニーズが現れたとき
4.産業構造が変化したとき
5.人口構造が変化したとき
6.意識が変化したとき
7.発明発見が生まれたとき
⑧人事の手順としての5つのステップ。
1.仕事の中身をつめること
2.候補者を複数用意すること
3.候補者の強みを見ること
4.上司や同僚など複数の意見を聞くこと
5.発令の数ヵ月後、仕事の中身を理解
しているかを確認すること
⑨仕事をする能力として習慣化すべきこと。
1.時間の使い方
2.貢献に焦点を合わせる
3.強みの上に築く
4.集中する
5.成果をあげるように意思決定を行う
この本も、ドラッカーの著作同様に、何度も
読み込んで楽しむためのものである。
そして、私には、こういう本こそ本当に有難い。
遅れてきたドラッカリアンにはおススメの
1冊である。
【目次】(「BOOK」データベースより)
はじめにードラッカーとは何者か/第1章 人が幸せであるためには何が必要かードラッカーの問題意識/第2章 転換期のクライマックスはこれからだードラッカーの時代認識/第3章 論理ですべてがわかるとしてはならないー社会生態学者ドラッカー/第4章 万人のための帝王学を求めてーマネジメントの父ドラッカー/第5章 何をもって憶えられたいかーセルフマネジメントの方法論/第6章 世界のモデルとなりうるかードラッカーが恋した日本/おわりにードラッカーとの出会い
ドラッカ... |
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