« ロバート・B・ライシュさんの『勝者の代償』を読んでみた | トップページ | 奥野宣之さんの『人生は1冊のノートにまとめなさい』を読んでみた »

2012年2月 3日 (金)

上田惇生さんの『ドラッカー入門』を読んでみた

上田さんの『ドラッカー入門
万人のための帝王学を求めて』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、ドラッカーのその主要作品のすべてを

長年にわたり翻訳してきた著者による解説である。

ドラッカーの分かりにくさを丁寧に解体して見せる

さまはさすがだが、予備知識なしに飛び込むと

ドラッカーの著書の難しさそのままに、面白さが

分からずに終わってしまうので、牛越博文さんの

『これだけは知っておきたいドラッカー』とあわせて

読むと理解が深まる1冊であると思う。

ドラッカーを読む上でのポイントになる箇所を

私なりに抜き出してみると次のとおり。

①社会的存在としての人は、社会として機能する
 社会を必要とする。それでは、社会が機能する
 ための条件は何か。第一に、そこにいる人たち
 全員に位置づけがあることである。第二に、
 全員に役割があることである。第三に、そこに
 ある権力に正統性があることである。

②未来について言えることは二つしかない。
 第一に、未来はわからない。第二に、未来は
 現在とは違う。
 従って未来を知る方法も、二つしかない。
 一つは、すでに起こったことの帰結を見ること
 である。彼独自の予測にしても、すでに起こった
 ことの帰結、つまりすでに起こった未来を知らせる
 に過ぎない。
 未来を知るもう一つの方法は、自ら未来をつくる
 ことである。

③ポストモダンのための方法論をまとめるならば、
 次の7つの作法になる。
 1.見ること
 2.わかったもの使うこと
 3.基本あるいは原則となるものを知って使うこと
 4.かけたものを探すことです
 5.自らが陳腐化の主導権を握ることである
 6.仕掛けを作っておくこと
 7.限界をわきまえつつ、モダンの方法を使うこと

④マネジメントについての3つの役割
 1.それぞれの組織に特有の社会的機能を
 まっとうすること
 2.組織に関わりをもつ人たちが生き生きと生産的に
 働き、仕事を通じて自己実現できるようにすること
 3.社会的責任を果たすこと

⑤マネジメントが目標を設定するべきは、
 1.マーケティング
 2.イノベーション
 3.生産性
 4.人材
 5.物的資源
 6.資金
 7.社会的責任
 そして、「条件」としての利益である。

⑥チェンジ・リーダーたるための4つの条件。
 1.既存のものの廃棄
 2.日々のカイゼン
 3.成功の新展開
 4.価値を創造するためのイノベーション

⑦イノベーションの7つの種
 1.予期しなかったことが起こったとき
 2.ギャップがわかったとき
 3.ニーズが現れたとき
 4.産業構造が変化したとき
 5.人口構造が変化したとき
 6.意識が変化したとき
 7.発明発見が生まれたとき

⑧人事の手順としての5つのステップ。
 1.仕事の中身をつめること
 2.候補者を複数用意すること
 3.候補者の強みを見ること
 4.上司や同僚など複数の意見を聞くこと
 5.発令の数ヵ月後、仕事の中身を理解
 しているかを確認すること

⑨仕事をする能力として習慣化すべきこと。
 1.時間の使い方
 2.貢献に焦点を合わせる
 3.強みの上に築く
 4.集中する
 5.成果をあげるように意思決定を行う

この本も、ドラッカーの著作同様に、何度も

読み込んで楽しむためのものである。

そして、私には、こういう本こそ本当に有難い。

遅れてきたドラッカリアンにはおススメの

1冊である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
はじめにードラッカーとは何者か/第1章 人が幸せであるためには何が必要かードラッカーの問題意識/第2章 転換期のクライマックスはこれからだードラッカーの時代認識/第3章 論理ですべてがわかるとしてはならないー社会生態学者ドラッカー/第4章 万人のための帝王学を求めてーマネジメントの父ドラッカー/第5章 何をもって憶えられたいかーセルフマネジメントの方法論/第6章 世界のモデルとなりうるかードラッカーが恋した日本/おわりにードラッカーとの出会い

ドラッカ...

ドラッカ...
価格:1,680円(税込、送料別)

|

« ロバート・B・ライシュさんの『勝者の代償』を読んでみた | トップページ | 奥野宣之さんの『人生は1冊のノートにまとめなさい』を読んでみた »

ドラッカー」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 上田惇生さんの『ドラッカー入門』を読んでみた:

« ロバート・B・ライシュさんの『勝者の代償』を読んでみた | トップページ | 奥野宣之さんの『人生は1冊のノートにまとめなさい』を読んでみた »