池田信夫さんの『希望を捨てる勇気』を読んでみた
池田さんの『希望を捨てる勇気
停滞と成長の経済学』を読んでみた
(5つが最高)
この本は、小泉改革は本当に悪かったのかという
ことや派遣労働は禁止すべきなのかといった話題
などを取り上げながら、現在の経済学の常識に
近い内容をなるべくやさしく解説しようとした本である。
特に、「事後の正義」や「トレードオフ」の考え方は、
とてもよく理解できた。
また、私が最近気になっているユニクロについて
結果的に日本の産業構造の盲点をついたという
分析をしており、ポイントを次の3つとしている。
1.日本型流通機構からの脱却
2.グローバルな垂直統合
3.自己責任
特に3つ目の自己責任ということに関しては、
柳井さんはユニクロ以外のほとんどについて
失敗したが、すべての責任を自分で取った点を
自己責任に基づいていると評価している。
この本は、通常の経済学のテキストのような解説の
順序ではないので、ある程度の知識があったほうが
楽しめることは間違いないが、経済学の知識が
ない人でも新聞に書かれていることをある程度
追っている人であれば問題ないだろう。
考え方のすべてに同意できるわけではないが、
違和感を覚える内容であっても作者の考え方が
シンプルで、自分の意見を持ちやすい良書である。
最後に書かれた次の言葉が示唆に富んでいる。
『今の日本に足りないのは希望ではなく、
変えなければ未来がないという絶望ではないか』
とにかく、私にとってはとても興味深い話が
たくさん詰まっていて、読みごたえがあった。
【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 格差の正体/第2章 ノンワーキング・リッチ/第3章 終身雇用の神話/第4章 長期停滞への道/第5章 失われた20年/第6章 景気対策の限界/第7章 日本株式会社の終焉/第8章 「ものづくり立国」の神話/第9章 イノベーションと成長戦略
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