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2012年2月13日 (月)

ロバート・B・ライシュさんの『暴走する資本主義』を読んでみた

ロバート・B・ライシュさんの『暴走する資本主義』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、現代の超資本主義では、民主主義がうまく

機能しなくなっていることが問題であると指摘している。

まず、第1章と第2章で超資本主義に至る歴史を描き

第3章と第4章で我々の中にある二面性と超資本主義が

もたらす社会的な負の面として、民主主義が侵食されて

いる事例を紹介している。

そして、第5章で企業のCSRでは、民主主義が回復され

ないことを指摘し、最終章で超資本主義に対する処方箋

を書いてみせている。

では、この本が問題視している我々の中にある二面性

とは何かといえば、次のような相反する立場である。

たとえば、私たちは企業のリストラや人件費の抑制に

よって、「消費者」や「投資家」として超資本主義から

利益を得ている。

しかし、その一方で「市民」や「労働者」としては、まさに

そのリストラや人件費抑制の犠牲者となっている。

超資本主義以前と比べて、私たちは、よりよき社会を

作っていく責務を担えているのだろうか。

個別の企業をやり玉に上げるような運動で満足するの

ではなく、現代の資本主義のルールそのものを変えて

いく必要があるのではないだろうか。

それは「消費者」や「投資家」としての利益が減ずること

になろうとも、決断していかなければならないことである。

そういった方法でしか、この超資本主義に対抗する軸を

私たちは持つことができないということだ。

労働者としては、すでに私たちはこの本を読む前から

グローバルな資本主義の問題点を実感している。

それを具体的に考えさせてくれるという意味では、

間違いなく良書である。

処方箋がもっとしっかりとしていれば、なお良かった。

【目次】(「BOOK」データベースより)
序 パラドックス/第1章 「黄金時代」のようなもの/第2章 超資本主義への道/第3章 我々の中にある二面性/第4章 飲み込まれる民主主義/第5章 民主主義とCSR/第6章 超資本主義への処方箋

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