常見陽平(ツネミヨウヘイ)さんの『「キャリアアップ」のバカヤロー』を読んでみた
常見さんの『「キャリアアップ」のバカヤロー
自己啓発と転職の“罠”にはまらないために』を読んでみた
(5つが最高)
この本は、リクルート出身の人材コンサルタントが
「キャリアアップ」にまつわる自己啓発や転職を含めた
多くの罠にはまらないようにと警告を発している。
内容的には、常見さんの転職体験やリクルート社への
想いなど広範にわたる話題は面白いが、参考になる
事は少ない。
なぜなら、この本のコンセプトが、「キャリアアップ」と
いうものは、世の中には存在しないというものであり、
人々が「キャリアアップ」につながると思って取り組んで
いることにはあまり意味がないと、言い切ってしまって
いるためである。
たしかに、「キャリアアップ」を目指して転職し、失敗
する人は多いのかもしれないが、「キャリアアップ」
そのものに興味がある人には役に立たない。
キャリアにはアップもダウンもないというのは、
一面では真実かもしれないが、「キャリアアップ」が
求められていることも、また見過ごせない事実だ。
この世間と常見さんとのギャップは、私個人の偏見で
あることを承知で言えば、リクルート出身者の多くが
リクルート時代には「キャリアアップ」をするが
リクルート退社後は年収をダウンさせていくだけの
存在になってしまうことに起因しているように思う。
常見さん自身も「元リクルート」は優秀かという問を
立てているが、そこで紹介されている人たちが
ベンチャー企業の経営者になれれば良い方だと
いうことを示しており、私たちが実際に目にする
組織の中に入ってくる「元リクルート」は明らかに
質が悪く、すぐに退職していく人たちばかりである。
それでも経営者や人事はいまだにリクルートを
人材輩出企業だと誤解し、高い報酬を払っているが、
それはもう過去の話だと言う以外にない。
リクルート出身の人材コンサルタントという肩書きで
「キャリアアップ」を語るには、この本のような体裁か
リクルート内での「キャリアアップ」を語る以外方法が
ないのだろうが、であれば、「キャリアアップ」の仕方
を語ったほうが良かったのではないだろうか。
まあ、そういったことが嫌なので、「バカヤロー」と
いうことなのだろうが、私としては残念だった。
できれば「バカヤロー」と言っておきながら、
本当の「キャリアアップ」の仕方を語ってくれる
というような内容であったら、参考になっただろう。
そのような視点が常見さんにもあったであろうことは
最終章の「20代のとき私が知りたかった12の
ルール」からも窺うことができる。
⑨自分を安売りしない
⑩次の時代の空気を読め
「キャリアアップ」の仕方ではなく、転職や自己啓発の
注意点を学びたい人には、一読する価値はある。
【目次】(「BOOK」データベースより)
はじめにー「キャリアアップ」という曖昧な不安/第1章 なぜ、「キャリアアップ」に脅迫されるのか?/第2章 転職のバカヤロー/第3章 私の「キャリアアップ」漂流記/第4章 自分磨きのバカヤロー/第5章 20代のとき私が知りたかった12のルール
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