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2012年3月31日 (土)

佐野眞一さんの『あんぽん 孫正義伝』を読んでみた

佐野さんの『あんぽん 孫正義伝』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、ソフトバンクの孫正義さんの評伝であるが

いわゆるソフトバンクの社史みたいなモノではない。

佐野さん自身、あとがきで書いているとおり、

この本の狙いは、孫正義という特異な経営者は

なぜ生まれたのかということを朝鮮半島につながる

血のルーツまで遡って探ることであり、言葉をかえ

れば、佐野さんなりの在日朝鮮人論であるという

ことである。

そのため孫正義さんのこれまでの歩みや当然あって

しかるべきソフトバンクの歩みは、ほとんど書かれて

いない。

しかも、佐野さんの本を読むのが初めてではない

私にとっては、意外に思えるほど、今回の対象と

された孫正義さんに対して否定的なスタンスが

目に付いた。

佐野さんは孫さんをはっきりと「いかがわしく」て

「うさんくさい」と書き記している。

『孫正義は成り上がり者だから、いかがわしさを
感じるのか。ノーである。
孫正義は元在日朝鮮人だから、いかがわしさを
感じるのか。ノーである。
 では、孫に対して感じるいかがわしさやうさんくさ
さは、どこから来るのだろうか。
 孫は「経済白書」が「もはや戦後ではない」と高らか
に謳った翌年、鳥栖駅前の朝鮮部落に生まれ、豚の
糞尿と密造酒の強烈な臭いの中で育った。
 日本人が高度経済成長に向かって駆け上がって
いったとき、在日の孫は日本の敗戦直後以下の
極貧生活からスタートしたのである。
 その絶対に埋められないタイムラグこそ、おそらく
私たち日本人に孫をいかがわしいやつ、うさんくさい
やつと思わせる集合的無意識となっている。
 高齢化の一途をたどる私たち日本人は、年寄りが
未来のある若者をうらやむように、底辺から何として
も這い上がろうとして実際にそれを実現してきた孫の
逞しいエネルギーに、要は嫉妬している。』

この記述が本当に正直な佐野さんの感想なのか

どうかは分からない。

けれども、私が感じていることとは明らかに逆である。

「私たち日本人が孫さんをいかがわしいやつ、うさん

くさいやつと思ってしまうのは、残念ながら孫さんが

成り上がり者だからであり、元在日朝鮮人だから

なのである」

このことを覆い隠したまま、孫さんをいくら批判しても

私たちには成長がないように思える。

孫さん自身はきっとこの問題を彼なりの努力で

越えていくと思えるだけに、なおさらはっきりと

認識した上で、私たち自身もこの問題を越えて

いかなければならないのではないだろうか。

逆説的ではあるが、この本を読んだことで孫さんが

実際にやってきた、ソフトバンクの歩みのようなもの

を読んでみたくなった。

【目次】
孫家の家系図・孫正義略年表
プロローグ
第1章 孫家三代海峡物語
第2章 久留米から米西海岸への「青春疾走」
第3章 在日アンダーグラウンド
第4章 ソフトバンクの書かれざる一章
第5章 「脱原発」のルーツを追って
第6章 地の底が育てた李家の「血と骨」
第7章 この男から目が離せない
あとがき

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2012年3月30日 (金)

渋沢栄一さんの『論語と算盤』を読んでみた

渋沢さんの『論語と算盤 現代語訳』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、渋沢さんの論語の注釈と思って読むと少し

がっかりするかもしれない。

守屋淳さんによる現代語の抄訳なので、実際に全体を

読むと感じ方が違うかもしれないが、あまりにも『論語』や

孔子について触れている箇所が少なく、拍子抜けする。

ただ、人間は算盤だけではいけないということは、

文章の中に色濃く表現されていて、現代の拝金主義に

まみれた人には、ぜひとも読んでいただきたいものだ。

たとえば、常識とは、智、情、意(知恵、情愛、意志)の

3つがそれぞれバランスを保って、均等に成長したもの

である、というような表現は古くて新しい。

昨今では、常識とは、「利益を上げなかったら会社は

倒産するんだから、リストラするのが常識」などと

まったくとんでもない使われ方が平気でされている。

赤字が続いても役員報酬をカットすることを考えない

ような人たちにこそ「リストラなんて言わずに、常識を

もって行動してください」と言いたいものだ。

まあ、日本実業界の父が生涯を通じて貫いた経営

哲学と、そんじょそこいらの経営者を較べるほうが

酷なことかもしれないが。

何より「利潤と道徳を調和させる」という考えは、

この本の中にしっかりと示されている。

そして、それこそが今の日本人が帰るべき原点である。

確かに論語の詳細な分析ではないが、論語の大局を

誤っていないという意味では、論語に関する名著である

と言ってもいいだろう。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 処世と信条/第2章 立志と学問/第3章 常識と習慣/第4章 仁義と富貴/第5章 理想と迷信/第6章 人格と修養/第7章 算盤と権利/第8章 実業と士道/第9章 教育と情誼/第10章 成敗と運命

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2012年3月29日 (木)

安岡正篤さんの『論語の活学』を読んでみた

安岡さんの『論語の活学』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、小宮一慶さんがその著作の中でたびたび

推薦していたので手にとってみた。

中国好きの私にもかかわらず、安岡さんの本は今まで

読む機会に恵まれずにきたが、とても面白かった。

論語自体は教科書で読む以外にも、かなりいろいろな

人の訳や解説書に触れてきたが、しばらく読んでいな

かったので、懐かしい気がした。

もちろん、かつて若い頃に読んだときの感想と、不惑の

40代になった現在の感想とでは、大きく異なることは

当然のことだが、それ以上に今の置かれている状況

から来る興味に引きずられて読むことになった。

中でも一番気になったところは、孔子が高く評価した

晏子(晏平仲)という宰相の話。

とても地位ある人にもかかわらず、私生活には極めて

無頓着な人で、同じ皮ごろもを30年も着古したという

人だが、彼があるとき「見受けるところ、お前の女房も

だいぶくたびれて、あれでは気の毒だ。妾を持ったら

どうだ」と言われて、返した言葉が実に良い。

「なるほど、いかにも皺くちゃでみっともない女房には

違いありませんが、それも私に連れ添うて苦労したため

にああなりましたので・・・・・」

夫婦生活も長くなってくると、なかなか理想どおりには

いかないものであるが、見習いたいものだ。

また、論語を読み進める一方で安岡さんなりのものの

見方に触れられるのも、この本の特長である。

たとえば、「驕かつ吝」は仁の反対で徳がないことである

としたうえで、マルクスという人間もやっぱり驕かつ吝

なる人間であると切り捨てている。

スターリンや毛沢東も、その点で非人間的な性格を

持っていると、これまたバッサリと切り捨てている。

論語に関する解説の面白さのみではない、深い味わい

のある1冊である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
1 論語の人間像(孔子を生んだ時代相/最も偉大な人間通-孔子の人間観/理想的人間像-晏子、子産、周公、蘧伯玉/孔子学園の俊秀たち-子路、顔回、子貢、会参)/2 論語読みの論語知らず(孔子人間学の定理-「利」の本は「義」なり/論語の文字学-孝、疾、忠、恕/論語の活読・活学-古典の秘義を解く鍵)/3 論語為政抄(孔子について-講義草案ノート)

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2012年3月28日 (水)

森信三さんの『修身教授録』を読んでみた

森さんの『修身教授録』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、大阪天王寺師範学校(現・大阪教育大学)

本科での森信三先生の講義をまとめた『修身教授録』

(全5巻)の中から、昭和12年3月~昭和14年3月

までの2年間の講義を編集したもので、各章の前後に

先生の教室での様子まで書き込まれたライブ版の

体裁をとっている。

どの章を読んでも、教育者らしい深みのある言葉に

あふれているが、特に印象的な記述は次のとおり。

『人間は、四十までは迷いがちだと言っても、それなら
四十まではいくら迷っても差し支えない、というような
意味ではありません。
だが同時にまた、よほどの人でない限り、四十近くまで
は、お互いに迷いやすいということです。同時にまた
人間も、四十の声を聞いて人生の秋風に身を曝し
ながら、人生の道について迷っているようでは困ると
思うのです。』

『人生における深刻な経験は、たしかに読書以上に
優れた心の養分と言えましょう。だが同時にここで
注意を要することは、われわれの日常の生活の中に
宿る意味の深さは、主として読書の光に照らして、
初めてこれを見出すことができるのであって、もし
読書をしなかったら、いかに切実な人生経験といえ
ども、真の深さは容易に気付きがたいと言えましょう。
否、気付かないだけですめばまだしもで、かような
重大な意味を持つ深刻な人生経験というものは、
もしその意味を見出してこれを生かすことができなけ
れば、時には自他を傷つける結果にもなると言えま
しょう。』

40歳を越えてもなお迷い続け、人生の道どころか

日々の生活もままならないような者にとっては、

かなり厳しい言葉であるが、困ってばかりもいられ

ないので、努力する以外にない。

また、読書の大切さについては、オバマの賢人と

言われる投資家のバフェットも何度も強調している

ところである。

何をするにも、その道で事をなそうとするなら、

まず読書によって学ばなければならないというのは

共通する認識なのであろう。

そして、身を修めるというのは、決して一日でできる

ことではない。

迂遠な方法に思えても日々の読書から始めるしか

ないと気持ちを新たにするにはいい1冊だった。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1部 修身教授録〈1〉(学年始めの挨拶/人間と生まれて/生をこの国土にうけて/生を教育に求めて/教育者の道/人生の始終/志学/学問・修養の目標/読書/尚友/人と禽獣と異なるゆえん/捨欲即大欲/使命の道/真実の生活/諸君らの将来 ほか)/第2部 修身教授録〈2〉(挨拶/立志/人生二度なし/生命の愛惜/一つの目標/意地と凝り性/大志を抱け/気品/情熱/30年/長所と短所/偉人のいろいろ/伝記を読む時期/人生の深さ/一時一事 ほか)

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2012年3月27日 (火)

太田創(オオタツクル)さんの『ETF投資入門』を読んでみた

太田さんの『ETF投資入門
上場投信・徹底活用ガイド』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、「短期(デイトレード)」でも「長期(バイ&

ホールド)」でも使え、「売り(ショート)」にも「買い

(ロング)」にも対応できるETF(上場投資信託)の

ことが分かる入門書である。

たしかに、ETFについて基本的なことは大体

この一冊で理解できると思う。

けれども、それ以上に踏み込んだ内容ではない。

ETFは手数料が安く、仕組みが理解しやすい商品で

代表的な指数に連動した運用を目指すもので、

値動きも理解しやすい。

しかも、個別株式と違い倒産などの危険もない。

運用に加えたい商品ではあるが、この本にある

「具体的な投資法」だけでは心もとない。

ちなみに、「必殺!ヒラメ戦術+ドルコスト平均法」

として紹介されている投資法は、まずはドルコスト

平均法で毎月決まった金額を購入し、後は年に

数回起こりうる大幅な下落局面をヒラメのように

じっと待って購入単価を下げるというもの。

ただ、この方法は下落局面から必ず運用期間内に

回復するということが前提であり、日本株のような

長期の下落局面が続く相場には、あまり向いて

いないように思う。

もちろん、そこらへんのことは事前に調べて投資を

しろということで、各種指標の見方なども紹介されて

いるわけだが、常に正しい判断ができるわけでは

ないし、そもそも未来のことは誰にもわからない。

私もインデックスファンドを積み立てているので

戦略としては十分理解できるが、本にするからには

さらにもう一歩踏み込んだ解説が欲しいところである。

内容的にはETFそのものをこれから勉強したいという

人向けの1冊。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 ETF(上場投信)とは何か(なぜいま、ETFが注目されるのか?/ETFの仕組みと市場規模/ETFと投資信託の違い/パッシブ運用かアクティブ運用か/ETFが生まれた歴史的背景)/第2章 拡大する市場-21世紀はETFの時代(日本で上場されているETFと上場予定のETF/日本で販売されている海外ETF/世界の資産運用会社のETF戦略)/第3章 ETFの具体的な投資法(トレーディング/ドルコスト平均法/信用取引/リスク管理の重要性/ETFによる国際分散投資ポートフォリオ組成/必殺!ヒラメ戦術+ドルコスト平均法/ディフェンシブ・ポートフォリオの構築)/第4章 ETF投資とマクロ経済(マクロ経済動向の見方/主要な経済指標を知る/商品(コモディティOの価格動向もチェック)/第5章 ETF投資の心理学(メンタル・コントロールの重要性/投資成果は感情のコントロールで決まる/メンタル・リスクを回避せよ/投資家の性格別投資法/ETFは倒産しない)

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2012年3月26日 (月)

ウィリアム・パウンドストーンさんの『天才数学者はこう賭ける』を読んでみた

ウィリアム・パウンドストーンさんの『天才数学者はこう賭ける
誰も語らなかった株とギャンブルの話』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、とにかく膨大な記述で、内容は興味深いが、

ギャンブルの賭け方の説明に行くまでにギャングの

ノミ行為から、通信の歴史までを盛り込んでいるので、

必勝法を知りたい人向きの本ではない。

クロード・シャノンやエドワード・ソープを中心とした

天才数学者のマーケットなどへの取組みも、

冗長さに付き合えるなら面白く読める。

ケリー基準などの投資法は特に参考にはならない。

設定した条件次第で必勝法がまったく使い物にならない

ということはよくあるが、この本に書かれたものも

まったく常識から外れた条件設定で利益がマイナスと

いうことも生じてしまう。

数式も出てくるが、必勝法としてというよりは、

物語の装飾としてという感じが強い。

ただ、投資と数学者の物語としては興味深い。

そういう意味でなら、おススメの1冊である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
プロローグ 電信サービス/1 エントロピー/2 ブラックジャック/3 裁定取引(アービトラージ)/4 サンクトペテルブルグの賭け/5 RICO法/6 破裂/7 シグナルとノイズ

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2012年3月25日 (日)

上念司さんの『日本は破産しない!』を読んでみた

上念さんの『日本は破産しない!』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、辛坊兄弟の『日本経済の真実』や藤巻健史

さんの『日本破綻』が語る「国家破産本」とは違う、日本

は破綻しないということを分かりやすく解説した本。

今仮に国家破産の定義を「国債の償還ができなくなる

こと」としたとして、日本がアルゼンチンやギリシャの

ようになってしまうかという検証は面白い。

結論だけ書いてしまうと、固定相場制の国では国家

破産がありえるが、変動相場制の日本では円安になる

だけで国家破産のしようがないというもの。

まあ、解説を読めば確かにそのとおりでしょうという

以外にない。

日本には資産もまだたくさんあるので借金は深刻な

状況ではないということも、隠れ負債がないという前提

に立てば、肯定できる。

ただ、「政府の負債」は「国民の資産」という単純すぎる

図式は、ちょっと納得がいかない面もある。

国債を発行した分だけ政府が資産を蓄えたなら問題は

ないと思えるが、浪費しただけで何も残っていないので

あれば、それを資産としてよいものだろうか。

確かに、「政府の債務」は「国民の債権」かも知れない。

しかし、それが不良債権となることはありえる。

これほど杜撰な財政政策しか行わない政府が作った

日本のバランスシートが正しいものであると信用する

なんて、どこか変な気がする。

上念さんもこの本の後半では、デフレからの脱却を

早く政府は行うべきであると、日銀の金融政策とともに

政府を批判しているにもかかわらず、その政府が

出してくる資料は正しいことが前提だなんて、

何だか少し腑に落ちないが、まあそれは別の問題か。

また、後半のデフレの解説も、とにかく分かりやすい。

デフレはモノとお金のバランスがお金不足によって

崩れて発生する現象であり、魅力的な商品がない

とか、人口が減ったからとかいうことは原因ではない

という。

これも解説を読めば確かにそのとおりでしょうという

以外にない。

ただ、ここでもちょっとした勇み足が気になる。

人口減少は関係ないといっておきながら、人口が

減ることは将来的な労働投入量の減少を意味する

から、どちらかというとモノの供給が減る要因だ

という解説。

ここは、はっきりと人口減少はモノへの需要を減らす

一方で、モノの供給も減らすのでデフレには関係ない

ということでよかったのではないだろうか。

そんな細かいことを気にしつつも、とにかく面白くて

ためになる内容である。

私の年金暮らしの親でさえ、増税やむなしという考えに

傾いているこの時期にこそ読んでおきたい1冊である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
はじめに 日本は破産しません/第1章 「国家破産」に騙されるな/第2章 国家破産論への反駁/第3章 今すぐデフレを脱却せよ!/第4章 明るい未来のために、われわれができること/おわりに 失いかけていた希望を取り戻した日に

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2012年3月24日 (土)

岡本吏郎さんの『サラリーマンのためのお金サバイバル術』を読んでみた

岡本さんの『サラリーマンのためのお金サバイバル術
家・車・保険、「人並み」な買い物が破滅を招く』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、サラリーマンのお金についての「一般解」を

「収入よりも少ない支出で生活すればいい」という

当たり前のところから始めて、岡本さんの体験から

どのように導けるかという構成になっている。

岡本さんのやり方が「一般解」であるかどうかは

疑問に思う人もいるかもしれないが、

方向性については多くの人が同意するだろう。

ただ、最近の若者が貯蓄志向が強いことからも

分かるとおり、もうすでに浪費によって経済を

支えてくれる人たちは僅かしかいなくなっている

現状では、皆がこの本のとおりに「少ない支出」で

生活するようになると、結局は誰も得をしない。

「人並み」という幻想を追って多くの人が

家・車・保険を買ってくれてこその日本経済である。

もし、皆がその幻想を捨て去るというのであれば

そのときこそ本当の意味での「サバイバル」が

必要とされるのではないだろうか。

その意味では、この本には「サバイバル術」に

ついての記述はそれほど多くない。

ただ、後半のサラリーマンの運用については

多くの人が指摘していることではあるが、

より具体的で参考になると思う。

ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・トービンの

言ったことの要約として岡本さんは

『運用で大事なことは、リスク資産と無リスク資産の比率』

と言い切っているとおり、どのような配分が適切か

ということをまず考えなければならない。

岡本さんはその際にサラリーマンの仕事を

無リスク資産とし、住宅をローンで購入することを

リスク資産として、それでもリスク資産に

投資するのであればインデックスファンドかETFで

世界市場を積立で買うことを薦めています。

これは私が株式や新興国ファンドで損をし続けて

得た結論とまったく同じで面白みはないが、

市場の先が読める特別な人を除けば

サラリーマンにとっての「一般解」はこれ以外にない。

私は市場の取引(バクチ)が好きなのでFXも

少しやっているが、それで利益が得られるとは

まったく考えていないので、単なる遊びであるが、

本当の運用先は日本以外のインデックスファンドである。

しかも、毎月小額の積立とくれば、運用は面白くない。

けれど、サラリーマンの仕事がリスク資産になってきた

昨今の状況を考えれば、サラリーマンがこれ以上

リスク資産を持つ必要はないし、そもそも運用で

楽しめるほど余裕があるサラリーマンなんていない

と考えるほうが正しいのであろう。

リストラされたときに備えて現金を持っておき、

ある程度貯まったら住宅ローンの繰上げ返済にまわす、

そんなところが最も現実的な「運用」なのかもしれない。

【参考図書】(一部省略)
『人間安田善次郎』 織田誠夫 経済展望社
『富の活動』 安田善次郎 大和出版
『私の財産告白』 本多静六 実業之日本社
『敗者のゲーム』 チャールズ・エリス 日本経済新聞社
『ウォール街のランダム・ウォーカー』 バートン・マルキール 日本経済新聞社
『大衆操作の系譜』 渋谷重光 勁草書房
『証券投資の思想革命』 ピーター・L・バーンスタイン 東洋経済新報社
『振り子の金融史観』 平山賢一 シグマベイスキャピタル
『日本経済のリスクプレミアム』 山口勝業 東洋経済新報社
『ウォルマート』 ボブ・オルテガ 日経BP社
『インデックスファンドの時代』 ジョン・C・ボーグル 東洋経済新報社

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 サラリーマンの“お金の大原則”─実は、家1軒分のお金はカンタンに貯まる(誰でもわかる算数/便利という“分断”/奴隷制度は続いている? ほか)/第2章 サラリーマンのお金の使い方を考える─今すぐ年収の3割を貯金すべき理由(基本編/住居費─住宅って、こういうものだったんだぁ!!/社会保険料─貧困の元凶 ほか)/第3章 サラリーマンの運用を考える─余裕資金が貯まったら、次は“世界市場”を買う(配分をどうするか?─運用の前に考えておくこと/株式/投資信託(アクティブ投信)─みんなに投資信託を買ってもらおう!! ほか)/エピローグ─世界で一番やさしい算数

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2012年3月23日 (金)

ダニエル・カーネマンさんの『ダニエル・カーネマン心理と経済を語る』を読んでみた

ダニエル・カーネマンさんの
ダニエル・カーネマン心理と経済を語る』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、行動経済学の基礎を固めたダニエル・

カーネマンのノーベル賞記念講演や自伝を

1冊にまとめて出版されたものである。

ダニエル・カーネマンはもともとは心理学者であり、

プリストン大学名誉教授である。

2002年にノーベル経済学賞を「心理学的研究から

得られた洞察を経済学に統合した功績により」受賞。

イスラエル軍での兵役を務めたのち、米国へ留学。

カリフォルニア大学バークレー校で心理学の博士号を

取得後、その研究が行動経済学の誕生とノーベル賞

受賞につながった人物である。

残念ながら共同研究者のトヴェルスキーは1996年に

病死しているためノーベル賞の受賞には至らなかった。

そして、カーネマンの生み出した「行動経済学」の主張は

「人間の非合理性」を強調するものなどではなく、

人間が不確実な状況下で下す判断や意思決定には、

合理的ではないが、ある種の傾向が見られるということを

主張するもので、それが「人間の限定合理性」ということだ。

そのため、完全に合理的な人間を仮定する旧来の経済学

には不都合かもしれないが、人間の行動がまったくの

非合理的なもので、とらえどころがないわけではない。

カーネマンの行動経済学関連の業績をまとめると

次の3つになる。

①ヒューリスティクとバイアスの研究
②プロスペクト理論に関連する研究
③効用概念の再検討と幸福に関する研究

その中で、ノーベル賞記念講演で触れられている

プロスペクト理論に関する箇所では次のように

述べられている。

『プロスペクト理論には、効用関数ではなくて、
価値関数というものがあるんです。(略)
これには二つ重要な特徴があります。それは、
不確実な状況で人が選択をする時にどういう
行動をとるかについて、二つのまったく新しい
予測を伴うものです。最初の特徴は、私たちが
「損失回避性」と名付けたもので、人は何かを
得る時よりも、何かを失う場合の方に強く反応
するというものです。実際、この反応は二倍も
強いのです。(略)
もう一つ、(略)人が意思決定をする時、損失の
領域、つまり負の選択に直面した時にはリスクを
追求する傾向があり、逆に利得の領域では
リスク回避的であるということです。』

これは、株式投資などで、利が乗るとすぐに売却

したくなり、含み損が出ると必ず戻るはずと粘って

しまうことにピタリと当てはまる。

そのほかにも、この本の内容は充実している。

もちろん、行動心理学の解説書などのような包括的な

説明でないことは、本のスタイルからして仕方がない

ことだが、私のように行動経済学に興味をもった人が

カーネマンとトヴェルスキーの著作を読んでみたいと

邦訳を探しているなら是非読むことをオススメする。

【目次】
第1章 ノーベル賞記念講演 限定合理性の地図
第2章 自伝
第3章 効用最大化と経験効用
第4章 主観的な満足の測定に関する進展

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2012年3月22日 (木)

金哲彦さんの『誰でも「たった20回」の練習でフルマラソンを完走できる!』を読んでみた

金さんの『誰でも「たった20回」の練習で
フルマラソンを完走できる!』を読んでみた

 (5つが最高)

この本では、名コーチ金哲彦さんが誰でもマラソンが

完走できるようにと「サンドイッチ走法」を紹介して

くれている。

この走法はジョグとウォークを交互に繰り返すという

方法なので、すべての距離を走り続けるというもの

ではないが、20回の練習ということを考えると

上手く考えられているのではないだろうか。

懸念されるのは、1度ウォークで歩いてしまうと

次に走るのが精神的にも肉体的にも辛くなって

しまうのではないかということくらい。

たとえば、6時間完走では、キロ7分のジョギングを

35分(これで5キロ進む)、ゆっくりウォーキングを

5分を1セットとして、これを8回繰り返すとゴール。

20回の練習も1週間に3日で、7週間で完成。

練習の内容もジョグとウォークを繰り返すだけで、

6時間完走を目指す人でもジョグはキロ7分ペース、

全体的にウォークが多めだが、時間は長くても1日

120分のウォークが最高というラクなもの。

この本で、とりあえずマラソン完走を達成したら

次は少し速いペースで走れるようになることを目指し、

最終的には『3時間台で完走するマラソン』が必要に

なるくらいになれば、立派なアスリートだ。

【目次】(「BOOK」データベースより)
1 「たった20回」の練習で、フルマラソンが完走できる理由/2 「たった20回」の練習メニュー/3 大会の走り方をシミュレーションする/4 大会3日前からの過ごし方が重要だ/5 成功はギア&サプリの選び方にある/巻末付録 おすすめフルマラソン大会リスト

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2012年3月21日 (水)

小堺桂悦郎さんの『なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?決算書編』を読んでみた

小堺さんの『なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?
決算書編(新会社法対応)』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、前作同様に、とても軽やかな語り口調で

会計と決算書の面白さを解説してくれている。

決算書というとそれだけで分からないという人も

いるかもしれないが、小堺さんは逆に決算書こそ

「数字嫌い」の人でも簡単に理解できるということを

楽しいエピソードを交えて理解させてくれる。

しかも、決算書を知ることで、「世の裏側」が見えて

くるような仕掛けになっている。

「何が儲かるのか」「どの会社・業界が儲かるのか」

ということが分かるようになり、「セールス」「投資」

「転職・就職」「経営」「給料」「借金」「資金繰り」などで

有利になる情報満載である。

もちろん決算書を読み解く知識もしっかり紹介されて

いて、たとえば代表的な経営指標として紹介されて

いるのが次の2つ。

①自己資本比率(自己資本÷総資本×100)
②流動比率(流動資産÷流動負債×100)

ビジネスマンや経営者向けの決算書本がいくつも出て

いるが、小堺さんの本はその中でも面白くてためになる

代表的なものだと思う。

ぜひ、前作とあわせて読んでみてほしい。

【目次】
まえがき なぜ、決算書がわかると、「世の裏側」が見えてくるのか?
プロローグ 実録!ベンツ社長たち
第一章 ベンツを売って儲けたら…
     ~損益計算書の基本~
第二章 ベンツはどこへ…
    ~貸借対照表の基本~
第三章 なぜ、借金三〇〇〇万円を利益三〇万円の会社が返せるのか?
      ~損益計算書と貸借対照表のヒミツの関係~
第四章 ホントの決算書、ウソの決算書
     ~損益計算書と貸借対照表のキケンの関係~
第五章 ベンツ買っちゃった!でも…
     ~キャッシュフロー計算書の基本と使い方~
あとがき

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2012年3月20日 (火)

小堺桂悦郎さんの『なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?』を読んでみた

小堺さんの『なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?
誰も教えてくれなかった!裏会計学』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、「裏会計学」と称して会計の教科書では

教えてくれない「現場の会計」について、とても

軽やかな語り口調で解説してくれている。

特に、日本の会社の大部分を占める中小企業の

会計の実態について、「面白いエピソード」により

会計に詳しくない人でも読めるような工夫されている。

この本で紹介されているエピソードは、

「なぜ、社長のベンツは、中古の四ドアなのか?」
「なぜ、イケイケの会社が倒産してしまうのか?」
「なぜ、借金社長は税金を払いたがるのか?」
「なぜ、ラブホテル経営者は税金を払わないのか?」
「なぜ、社長は生命保険が好きなのか?」
「なぜ、社長は失敗しても投資し続けるのか?」など。

会計を少しかじったことがある人には、さらに

分かりやすい、囲みのコラムもあって、理論も

しっかり身に付けられる親切な構成になっている。

本当の「裏会計学」の一端が垣間見れる話が満載で

個人的には粉飾決算と架空決算の違いなど、

他の本ではあまり見かけない話題をきちんと取上げ

ているのが面白かった。

ちなみに、その違いとは、何かしらそのよりどころが

あるのが粉飾で、まるっきりないのが架空ということ。

税務署対策や銀行対策などと粉飾決算をからめて

解説している後半は、とても興味深い。

会社を経営していない人でも、会計に興味がある人

なら、読んで損のない1冊だと思います。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 なぜ、社長のベンツは、中古の四ドアなのか?-「経費」の話/第2章 なぜ、年商の四倍の借金のある旅館が潰れないのか?-「資金繰り」と「決算書」の話/第3章 なぜ、イケイケの会社が倒産してしまうのか?-「資金繰り」と「決算書」の話 その二/第4章 なぜ、借金社長は税金を払いたがるのか?-「粉飾決算」の話/第5章 なぜ、ラブホテル経営者は税金を払わないのか?-「税金」と「税務署」の話/第6章 なぜ、社長は生命保険が好きなのか?-「経費」の話 その二/第7章 なぜ、社長は失敗しても投資し続けるのか?-「投資」と「設備投資」の話

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2012年3月19日 (月)

吉田新一郎さんの『効果10倍の〈教える〉技術』を読んでみた

吉田さんの『効果10倍の〈教える〉技術
授業から企業研修まで』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、「学習者に役立つ」教え方の技術を追究して

「学び」のプロセスを解き明かし、学習者がより活発に

効率よく学ぶ方法論を提示している。

私も社内研修の講師をする機会があるが、そこでは

確かに事前準備を含めて、教えるほうがとても勉強に

なるということは感じていたが、これほど体系立てて

教えることから学ぶということは考えたことがなかった。

そんな私の印象に残った点は次のとおり。

サイモン・フィッシャー、デイヴィッド・ヒックスの
『ワールド・スタディーズ』によると活発な話し合いを
する際のヒントは次の9つ。
①何か手に取れるものを使う
②課題は明確に
③少人数(3~6人)で
④議論の余地があるものを
⑤力を合わせて
⑥視覚に訴えるものを
⑦並べて、比べて、選んで、まとめて
⑧体験してから考える
⑨難しすぎず、やさしすぎず

いい研修会とは次のとおり。
①会の雰囲気がいい
②得るものがある
③発見や出会いがある
④参加者の主体的な参加
⑤講師ではなく、コーディネーターの存在
⑥振り返りがある
⑦目的の共有と達成が図れる
⑧動きのある学び
⑨実践できる研修
⑩研修で終わらず、つながる・広がる
⑪参加しやすい条件

学びの質と量を左右する9原則
①人は皆、常に学んでいる
②安心して学べる環境が大切である
③積極的に参加できるとよく学べる
④意味のある内容や中身を扱うことでよく学べる
⑤選択できるとよく学べる
⑥充分な時間があるとよく学べる
⑦協力できるとよく学べる
⑧振り返りとフィードバックがあるとよく学べる
⑨互いに讃え合ったり教え合える機会があるとよく学べる

次に自分が講師をするときの参考にしたい点が多く、

人に何かを教える立場の人には、おススメの1冊である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
プロローグ 私の「教え方」史/第1章 間違った習慣からの脱出/第2章 よりよい「学び」をつくるための5つのポイント/第3章 「学び」のサイクル/第4章 仕事や生活に活かす/第5章 「学び」をサポートするためにすべきこと/資料編

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2012年3月18日 (日)

久保田競/田中宏暁さんの『仕事に効く、脳を鍛える、スロージョギング』を読んでみた

久保田競/田中宏暁さんの
『仕事に効く、脳を鍛える、スロージョギング』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、スロージョギングによって脳を鍛えよう

という本です。

まず、序章の脳科学の常識問題からして、面白い。

1.脳は10%程度しか使われていない。
 答え:ウソ
 脳はすべての部分が使われている。
 かつては脳の大半を占める「グリア細胞」の
 機能がよくわかっていなかっただけ。

2.クラシック音楽を聴くと成績が上がる
 答え:ウソ
 「モーツァルトを聴いた学生のIQテストの結果が
 良くなった」という報告もあったが、この効果は
 15分しか続かず、再現することができなかった。
 しかし、楽器の演奏を練習することで長期に
 わたって認知機能が向上すること、また、
 集中力、自己調整能力などが向上することは
 確認されている。

3.脳の損傷は回復しない
 答え:ウソ
 場所とダメージの深さによっては回復することもある。

4.脳は新しい細胞を作れない
 答え:ウソ
 脳は新しい細胞を作り続け、年齢に応じた新しい
 状況に対応する能力を持っている。

5.脳トレゲームで遊べば脳を若く保つことができる
 答え:ウソ
 ゲームで脳機能全体が強化されることはない。

そして、肝心のスロージョギングの仕方は次のとおり。

①笑顔が保てる「にこにこペース」
②はじめの目標は1日15分
③足の指の付け根で着地する「フォアフット・ランニング」
 歩幅は自然と小さく、自分の体の真下に足をつく
 2本のレールの上を走るイメージで
 あごを少し上げて走る
④走り終わったらストレッチ

スピードや自己記録の更新を目指すのではなく、

健康のためにジョギングをしているというような人

特に私のように40歳を過ぎてから始めたような人

には、脳も鍛えられていいのではないかと思う。

脳についても楽しく学べて、お買い得な1冊である。

【参考図書】
『BORN TO RUN 走るために生まれた』
 NHK出版 クリストファー・マクドゥーガル
『脳を鍛えるには運動しかない!
 最新科学でわかった脳細胞の増やし方』
 NHK出版 ジョン・J・レイティ

【目次】(「BOOK」データベースより)
序章 走れば頭がよくなるー脳科学・スポーツ医学の専門家が語るウソみたいなホントの話/第1章 仕事の効率が上がる具体例ー人生が変わる、スロージョギングの15の効果/第2章 毎日15~30分、自分のペースで走るースロージョギングで脳を活性化しよう!/第3章 走ることが脳に効く最新脳科学的エビデンスー前頭前野、10野、46野、海馬を刺激/第4章 スロージョギングの体への効能ー肥満、メタボ、生活習慣病からの脱出/第5章 さらに仕事ができるようになる!-スロージョギングにプラスしたい脳に効くエクササイズ

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2012年3月17日 (土)

金哲彦さんの『絶対変わる!ウォーキング&ランニング』を読んでみた

金さんの『絶対変わる!ウォーキング&ランニング
こんなにいいことがあるからみんなが走る』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、金哲彦さんが今ブームのウォーキングと

ランニングについてタイプ別の初めの一歩を解説した

入門書です。

矢寿ひろおさんの絵も、ほんわかとしていていい感じ。

マラソンの本としては向かないが、これから運動して

みたい人にはおすすめ。

基本のメソッドは次のとおり。

①すべては正しく立つことから

②体幹を意識することが、正しく立つための秘訣
 丹田、肩甲骨、骨盤という3つのポイントを意識する

③腰をやわらかくして、骨盤を前傾させる

④ウォーキングタイム以外の普段の生活から正しく歩く

⑤目線はまっすぐ前に向ける
 ひじは後ろにしっかり引く
 お腹は丹田を強く意識
 足は体の下に着地して、素早く上半身を乗せる

⑥腕は振るのではなく、肩甲骨の動きによって
 振られるイメージ

⑦姿勢は背筋を伸ばして、肩と腰に力を入れすぎず
 リラックスする

⑧「速く」走ることよりも、「長く」走ることが大切

⑨空中での姿勢と着地が安定した走りに
 重心を意識してまっすぐに着地する

この本から入って、徐々に金さんのマラソン本に

進んでいくと楽しめるはず。

自分の目標にあわせて楽しめればブームとは

関係なく長く続けられること間違いなし。

【目次】(「BOOK」データベースより)
序章 なんでみんな走ってるの?(最近、走っている人が多いけど、なんかいいことあるのかなぁ。/体が変われば、心も変わる。ランニングはいいことづくし! ほか)/第1章 こんな私でも走れるの?(たばこを吸う-ヘビースモーカーでぷかぷかな私も走れるの?/お酒を飲む-大好きなお酒、禁酒しなくちゃダメですか? ほか)/第2章 こんな私はどうすればいい?(たばこを吸う-ランニングは減煙&禁煙の最短ルートです。/お酒を飲む-走った直後は水分補給を!ビールをおいしく飲む秘訣。 ほか)/第3章 走ることは魅力がいっぱい!(走る魅力(1)-心と体が本来あるべきバランスを取り戻せます。/走る魅力(2)-もやもやしていた頭の中が整理されます。 ほか)/第4章 基本のメソッドをマスター(こんな立ち方、していませんか?すべては正しく立つことから。/体幹を意識することが、正しく立つための秘訣です。 ほか)

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2012年3月16日 (金)

竹中平蔵さんの『日本経済「余命3年」』を読んでみた

竹中平蔵/池田信夫/鈴木亘/土居丈朗さんの『日本経済「余命3年」
〈徹底討論〉財政危機をどう乗り越えるか』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、最近私が読むようになった竹中平蔵さん、

池田信夫さん、鈴木亘さんの3人と財政学に詳しい

土居丈朗さんの意見がまとめて読めるお得な本である。

とにかく、日本経済について、経済学者が考えている

ことのエッセンスは、ほとんど盛り込まれている。

まず、経済成長が1番大事ということ。

それなくしては社会保障なんて言っている場合ではない。

財政の問題も税収が増えない限り、解決できない。

そして、国債が暴落したり、日本が破綻するという

意見に対し、竹中さんは次のように言っている。

「プライマリーバランスは回復する」という期待が
多くの人々に共有される状況になれば、国債発行
残高が多くても、それほど混乱は起こりません。
逆に国債発行残高が少なくても、管理能力がまったく
ないと判断されれば、市場は混乱します。要は、
期待値がどれぐらい大きいかに尽きるのです。

また、タイトルにある「余命3年」という意味は、

あと3年で日本経済が絶命するという意味ではなく

いまのような奇妙に安定した状態はあと3年ぐらいしか

続かず、それ以降はどういう不足に事態が起こるか

分からないという意味だそうである。

2012年か2013年までには様々な改革が必要という

ことであるが、そこには多くの問題が横たわっている。

この本の中では、経済学者の意見は一致していると、

強調されていたが、それほど簡単な問題ではないよう

に思うのは、私に経済学の知識が足りないからか。

ただ、法律に携わる人間として、次のような解決策は

とても納得がいった。

1979年に東京高裁が、東洋酸素事件に関して、
整理解雇の4要件という判例を出して、実質的に
正規雇用は解雇できないことを日本社会に定着
させました。それがいまも生きているのですが、
この判例が不都合だと政策的に判断すれば、
国会が新しい法律をつくって上書きすればいい。

確かに、労働市場改革をしようとするなら、

この大企業にのみ残る硬直的な解雇規制を

撤廃する必要がある。

この本は、全体的にとても参考になる良書であるが、

若干気になったのは、自殺率について、10年に

わたって3万人以上の自殺者が出ているということに

対し、竹中さんが言った次のこと。

自殺率の話も、じつのところ現実を反映したものか
どうか不明です。自殺の定義自体が曖昧ですから、
統計の基準を変えた結果、このような数字になった
可能性もあります。

経済学者としては、自殺率であっても数字で捉えて

議論するというのは正しいかもしれないが、どのような

統計の基準にしろ実際に人が死んでいることは事実なの

であろうから、政治家としてこのようなことを言ったら、

誰もついてきてはくれなくなってしまうだろう。

これは、竹中さんが格差が広がったことの弁解を

どれだけしても多くの国民が納得しない理由の一つ

でもある。

高い自殺率について、「対策が必要だ」と言わずに

定義の曖昧さや統計の基準を問題にするなんて

研究者としては立派なことなのだろうけど。

政治の難しさを知る上でも、有意義な1冊である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 「国家破綻」に至るシナリオ(財政運営戦略で財政赤字は解消しない/歳出の「大枠」しか決められなかった理由 ほか)/第2章 税と世代間の負担をどうするか(消費税は早期に上げるべきか/「早期の増税は失敗する」というアレシナの提言 ほか)/第3章 社会保障をどうすべきか(「社会保障の充実」は可能か/「社会保障関係費」を聖域にしてはいけない ほか)/第4章 経済成長の鍵になる考え方(「スパイキーな世界」に挑む/郵政民営化の見直しが、財政をさらに悪化させる ほか)/第5章 真の「政治主導」の実現を(予算を財務省から取り戻す/官僚の知恵をいかに使うか ほか)

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2012年3月15日 (木)

タイラー・コーエンさんの『創造的破壊』を読んでみた

タイラー・コーエンさんの『創造的破壊
グローバル文化経済学とコンテンツ産業』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、グローバリゼーションの功罪を文化や

コンテンツ産業を中心に解説した本である。

オーソドックスな経済学的分析とは異なるが

「物語の経済学」として、とても興味深い。

まず、グローバリゼーション論が扱う市場経済に

よって可能となった多様な生産と消費を解明する

ための調査から得られた3つの教訓はとても示唆

的である。

1.「文化の多様性という概念には、複数の意味が
  あり、中には規格外のものもある」

2.「文化の同一化と差異化は、二者択一ではなく
  同時に起きることが多い」

3.「異文化交易は、それぞれの社会を改変し
  崩壊させるが、結局はイノベーションを支え、
  人間の創造力を持続させることになる」

多様性の概念をどのように捉えるかによって解釈は

大きく変わってしまう。

たとえば、多様性を複数の社会の間の多様性とすると

社会の内部の多様性が着目されることは少ない。

しかし、新しい芸術作品が、ある社会から別の社会へ

輸出されると、二つの社会の間の多様性は低下するが

その社会の内部での多様性は高まる。

すなわち、社会間の多様性が破壊されることによって、

社会内部の多様性が創造されるというのである。

これは、いいとか悪いとかいうことではなく、

実際に世界の各地で起きていることであり

今後も起きていくことであろう。

好むと好まざるとに関わらず、私たちは創造的破壊

の中で生きていかなければならないようである。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 異文化間交易ーグローバリゼーションの功罪/第2章 グローバル文化の隆盛ー富と技術の役割/第3章 エートスと文化喪失の悲劇/第4章 なぜハリウッドが世界を牛耳るのか、それはいけないことなのか/第5章 衆愚化と最小公分母ーグローバリゼーション時代の消費者/第6章 「国民文化」は重要なのかー貿易と世界市民主義

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2012年3月13日 (火)

三輪裕範(ミワヤスノリ)さんの『四〇歳からの勉強法』を読んでみた

三輪さんの『四〇歳からの勉強法』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、伊藤忠商事の商社マンとして数冊の著書を持つ

三輪さんが、「時間をどう作るか」「効率的な情報収集は

どうすべきか」「ビジネス英語の習得法」「ハウツー本の

値打ち」など、ビジネスマンとしての体験を整理しながら

すぐに使える勉強法を公開したとても実践的な本です。

ただし、難点を挙げれば、「40歳から」という限定には

あまり意味がないように感じた。

また、ビジネスマンであることに基づいた事例を紹介する

だけでは、新書にふさわしくないと思ったのかもしれないが

古今東西の本からの引用が多すぎる。

確かに、40歳の余裕のある読者には引用の一つ一つが

心に響くかもしれないが、私のように余裕のない40代は

とにかく勉強法の具体的解説のほうが有難い。

そういった意味では、最近の流行の自己啓発本のほうが

直接的で無駄がないと感じる。

そこで、あえて「勉強法」の参考になったノウハウだけを

抜き出して、まとめると次のとおり。

①年間600時間の勉強時間を確保する
 月曜から金曜日までの毎日1時間と
 土日両日の3時間を勉強時間とする
②ビジネスマンは「朝型」にする
 「朝1時間の知的作業は、夜の3時間に匹敵する」
③「こまぎれ時間」を有効に活用する
 英単語やイディオムの増強
 短編小説や経済ビジネスの文庫・新書を読む
 総合月刊誌・経済誌の記事を切っておいて読む
④日本語と英語の本を交互に読む
 集中力を維持させるための工夫
 内容の違う本を読むことでも良い
⑤勉強の王道は本を買って読むことである
 選書眼を養うために身銭を切る
 蔵書を持つことによる知的雰囲気の重要性
 読みたいときに機会を逃さない
 自分の感じたことを書き込むことができる
⑥本選びの手がかりは「目次」と「前書き」
 文章の論理性と明晰性を重要視する
 不要な形容詞が多用されている本を避ける
⑦英語学習の初期目標は高校入試の長文読解問題が
 ほぼ完全に理解できるレベルに設定する
 『英語長文 分野別トレーニング』 教学研究社
 『英語長文問題精講』 旺文社
 『高校受験 英語長文問題』 評論社
 『高校受験 英語長文問題60日完成』 評論社
 『中学英単語ターゲット1800』 旺文社
 『中学英熟語ターゲット380』 旺文社
 『みるみる覚える英単語1000』 創育
 『みるみる覚える英熟語300』 創育
⑧英語学習の中期目標は大学入試の長文読解問題が
 ほぼ完全に理解できるレベルに設定する
 『英単語 Make it!』 語学春秋社
 『データベース5500 合格英単語・熟語』 桐原書店
 『読解英単語2758』 学研
 『速読速聴・英単語 上級』 増進会出版社
 『単語王2202』 オー・メソッド出版
 『速読英熟語』 増進会出版社
 『解体英熟語』 増進会出版社
 『ロイヤル英文法』 旺文社
 『頻出 英語長文 改訂版』 日栄社
 『1日1題30日完成 英文解釈 高校上級用』 日栄社
 『こだわって! 英語文系読解』(5分冊) 河合出版
⑨英語学習の長期(最終)目標は欧米の主要新聞、
 週刊誌、学術論文が難なく読めるレベルに設定する

この本に書いてあることは、やらないと何の効果もない。

当たり前のことだが、それをやった人だけが、この本の

勉強法の良さが分かる。

単純でオーソドックスだが、参考になる点は多い。

【参考図書】
『勉強術・仕事術 私の方法』 竹内均 三笠書房
『知的生活の方法』 渡部昇一 講談社現代新書
『入門価格理論』 倉沢資成 日本評論社

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 どうやって時間を作り出すか(人生最大の難題/年間六〇〇時間を作る ほか)/第2章 よい本はこうして選ぶ(勉強の王道/「借りる」より「買う」 ほか)/第3章 新聞・雑誌をどう読むか(必要悪としての新聞/週末のまとめ読み ほか)/第4章 わたしの英語上達法(英語に憑かれた日本人/会話幻想を捨てる ほか)

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2012年3月12日 (月)

三橋貴明さんの『ドル崩壊!』を読んでみた

三橋さんの『ドル崩壊!
今、世界に何が起こっているのか?』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、リーマン・ブラザーズ証券が最も危ないと

考えられているというコラムがあるくらい古いが、

そこに至るプロセスは実に面白い。

正直、サブプライムローンの仕組みなどは、もっと

詳しく解説した本もあるが、この本のいいところは

「なぜ」そのようなことが起きたのかということが

上手く伝わってくるところである。

こういったバカバカしい成り行きは、経済学の大家の

どれだけ詳しい解説でも納得いかないところがあるが

三橋さんはそこの部分を本当に上手く語っている。

なお、サブプライムローン問題において、もっとも悪い

機関を三橋さんは格付け機関だとしているが、これは

決めにくい問題だと思う。

私は保証を付けた会社もローンを販売した業者も

同じように悪いと思う。

ただ、格付け機関はその制度上、大きな問題がある

ことは事実であり、日本以上に海外では影響が大きい

ということを考えれば、うなずける見解ではある。

タイトルになっている、第5章の「ドル崩壊への道」は

ドルの歴史であり、知っている人には新しいことは

ほとんど書かれていないので少しがっかりだが、

逆にそれ以外のところは面白くて一気に読める。

リーマンショックまでを再確認したい人には

おすすめの良書である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 デリバティブ6京円!?/第2章 サブプライムローン問題の本質/第3章 巧妙な錬金術の成れの果て/第4章 苦悩するFRB/第5章 ドル崩壊への道/最終章 最後に残るのはどこなのか?

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2012年3月11日 (日)

金哲彦さんの『金哲彦の今日から始めるウォーキング&ランニング』を読んでみた

金さんの『金哲彦の今日から始める
ウォーキング&ランニング』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、名コーチ金哲彦さんのウォーキングと

ランニングのあらゆるシーンをイメージした

少し大きめのビジュアル本です。

まずは、走る前に知っておきたい3つのポイント。

①走る動きのためにはフォームが大切
②走りを支えるためにはランニングシューズが大切
③安心して走るためにはウォーミングアップが大切

そして、正しいフォームに重要な「体幹」の3つのポイント。

①お腹の丹田
②背中の肩甲骨
③腰の骨盤

次に、ランニングシューズの3つのチェックポイント。

①足先に5mmの余裕がある?
②小指があたっていない?
③かかとを持ち上げた時にフィットしている?

走る準備ができたら、正しい走り方の3つのポイント。

①腕振り・・・ひじを引いて肩甲骨をを動かす
②骨盤・・・やわらかく使う
③着地・・・脚の真上に骨盤と上半身を乗せる

レースを目指すステップアップランナーの心得は4つ。

①他人を気にせず自分のペースを守る
②基本に立ち返りながら走力を伸ばす
③自分の目標・レベルに合ったレースを選ぶ
④タイムばかりを気にしない

そして、いよいよフルマラソンに出場するとなったら

走り始めてからの3つのポイント。

①最初の5キロが大切
 平均タイムで走る
 しっかり呼吸する
 むだな動きをしない
②オーバーペースに注意
 自分のペースを守る
 坂道・給水所で焦らない
③給水はのどが渇く前に
 最初の給水所から飲む練習を
 上昇した体温を下げるのにも便利

他にも、エクササイズやトレーニングのポイントも

図解つきで詳しく解説されていてとても親切。

食事や栄養バランス、Q&Aなど細かいアドバイスも

豊富で、ランニングの初心者から上級者まで、この

1冊で充分対応可能。

何度も見て読んで、参考しながら走ってます。

【目次】(「BOOK」データベースより)
1 Before runner―体を目覚めさせよう(走る動きのためにはフォームが大切/走りを支えるためにはランニングシューズが大切 ほか)/2 Beginner runner―心と体を軽くしよう(どこで走る?/体幹を使ったランニング ほか)/3 Step‐up runner―レースを目指そう(レースってどんなもの?/走力を伸ばすための練習方法 ほか)/4 Step‐up runner for full marathon―フルマラソンに挑戦しよう(フルマラソンは完走できる!/フルマラソンを目指すステップアップランナーのトレーニングプラン ほか)/巻末付録(to doリスト/トレーニング記録シート)

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2012年3月10日 (土)

中田宏さんの『政治家の殺し方』を読んでみた

中田さんの『政治家の殺し方』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、前横浜市長の中田さんが自身のスキャンダル

報道の裏側を語った本である。

当然、中田さんとしては政治家として殺されてしまいたく

ないとの想いから本を出しているのであろう。

しかし、中田さんにあまり興味のなかった人にとっては

あえて週刊誌などで取り上げられたことを題材にして

このような本を書くことは、そういった間違った報道が

あったことを教えてしまうだけになってしまわないか

心配にもなってしまう。

内容としては、中田さんの改革によって利権を奪われた

人が情報を捏造し、スラップまがいの恫喝訴訟を起こす

など、常識ハズレな抵抗をされて、政治家としての

イメージをダウンさせられたということだが、本当に

議員や公務員の実態は酷いものである。

ちなみにスラップとは、Strategic Lawsuit Against Public

Participationの略語で、通常は公の場で発言したり、

訴訟を起こしたり、あるいは政府・自治体に対応を

求めて行動を起こした権力を持たない比較弱者に

対して企業や政府など、比較優者が恫喝、発言封じ、

場合によってはいじめることだけを目的に起こす、

加罰的あるいは報復的な訴訟、つまり「公的に声を

上げたために民事訴訟を起こされること」を意味する。

それにしても、公務員というのは民間では考えられ

ない不思議な感覚を持った人たちの集まりである。

この本で触れられているだけでも、横浜市を一歩出た

だけで出張手当がもらえたり、市長に対して自分の

所属、名前が明らかになっていても「死ね」などと罵倒

する内容のメールを送れるほど処分がされない立場で

甘やかされた環境に慣れているなど。

そして、中田さんが批判しているもう1つがマスコミ。

日本の大手メディアが社会の公器でないことは、

原発報道の例を出すまでもなく、よく知られている。

テレビ局や新聞社も結局のところ広告主のことは

悪く報道できないということだ。

とても面白い内容だっただけに、多くの人に読んで

もらいたいが、改革派の政治家がいなくなってしまう

のではないかと、心配になったりもする。

それくらい改革を続けることは難しいということを

ストレートに伝えている本である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 「次世代のホープ」、ひと晩で「ハレンチ市長」になる(私を奈落の底に突き落とした数々のスキャンダル/「ハレンチ市長」が弾けた合コン ほか)/第2章 日本をダメにするマスコミの正体(なぜ私はマスコミの餌食にされたのか?/ウォシュレットにこだわる“バカ”新聞記者 ほか)/第3章 魑魅魍魎が跋扈する地方自治体のアブナイ世界(まったくもって嬉しくない、市長としての初仕事/全国初のクールビズに猛反発! ほか)/第4章 史上最悪の市長に振り回された人々(市長になった途端、白髪頭に変身/死にたくなる人の気持ちがよくわかった市長時代 ほか)

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2012年3月 9日 (金)

斎藤槙さんの『世界をよくする簡単な100の方法』を読んでみた

斎藤さんの『世界をよくする簡単な100の方法
社会貢献ガイドブック』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、社会貢献ガイドブックと副題にあるとおり、

簡単なことから世界を良くしていこうというスタンスで、

さまざまな活動がカタログ的に紹介されている。

そのジャンルは広範囲に及んでいて、食の問題から

環境問題、企業の社会的責任など各自の興味の

あるところから、まず始められるようになっている。

また、現在活躍中の世界の社会起業家の紹介など

もあり、自分にも何かできるのではないかと思わせて

くれるところがこの本の良いところだと思う。

ただ、100の方法の中には、なかなか手が出ない

ような世界的有名人の活動なども含まれている。

けれど、良いことは誰がどんな形で始めてもいいので、

生活の中でできるちょっとしたことから取り入れてみる

のがいいのではないだろうか。

誰が手にとっても、何か感じるところがあるような本。

文章も読みやすいので、この世界のために今何か

行動を起こしたいという人にはオススメの1冊である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
序章 私が世界を変える?!/第1章 半径5メートルからスタート/第2章 社会貢献カレンダー/第3章 あの人のために、誰かのために/第4章 NPOへの第一歩/第5章 ビジネスからの社会貢献/第6章 企業の社会責任(CSR)に取り組む/第7章 自分を活かす法 スキル編/第8章 自分を活かす法 ハート編

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2012年3月 8日 (木)

近藤哲生さんの『はじめてのプロジェクトマネジメント』を読んでみた

近藤さんの『はじめてのプロジェクトマネジメント』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、若手のプロジェクトマネジャーとチーム

メンバーを対象に、「プロジェクトを失敗させない

ために、いつ、何を考え、何を実行すればよいのか」

を解説する入門書である。

内容は、プロジェクトの成功・失敗の分岐点となる

10の場面を取り上げて、ドラマ形式の「シナリオ」に

「解説」と「Step Up Point!」を付けてプロジェクト

マネジメントの進め方や実施事項をまとめている。

私には少しシナリオが馴染みの薄い分野の

プロジェクトであったことと、登場人物が役割や

性格を与えられて、追加的に登場することで

読みにくさがあったが、参考になる点も多かった。

以下、特に参考になったポイントを記載する。

1.プロジェクトは人と組織を成長させる機会で
 あるととらえ、また成功と失敗の定義を明確にし、
 メンバーが安心して頑張れるようにする。
2.プロジェクトは苦労するだけの場ではなく、
 個人を成長させ、豊かな人生の仲間を作る場
 でもある。個人のモチベーションを高めることを
 すべての基点とする。
3.問題を発見したらすぐ報告できる雰囲気をつくり、
 問題を全員で解決するためのルールを決めておく。
4.問題提起があれば、プロジェクト全体で問題を
 受け取り、個人の責任にしないことを徹底する。
 問題についてもっともよく理解しているメンバーが、
 最短時間で完璧に解決する。
5.担当したい作業に関するメンバー自らの申告に
 基づいて作業分担を決めれば、作業への興味が
 湧き、モチベーションと作業結果の品質が高まる。
 (自律作業分担法)
6.個人レベルで不良をつくり込まない。つくり込んだ
 不良は自分で見つける。「目先の自己最適ではなく、
 プロジェクトの全体最適を考える」を合い言葉にする。
7.プロジェクトでの経験の多くは暗黙知であるが、
 形式知化することにより、メンバーが自らの経験を
 第三者に伝承できるようになる。
8.プロジェクトは個人にとって貴重な体験の場であり、
 組織にとってはリスクを伴った投資である。
 何を学ぶかを意識しておくことにより、個人も組織も
 失敗から学ぶことができる。
9.プロジェクトを通して、多くの知恵や知識を身に
 付けたメンバーを増やすプロセスをつくり上げる
 ことが、プロジェクトの成功率を確実に上げていく
 王道である。

若手のプロジェクトマネジャーやチームメンバーだけで

なく、今まで何となくプロジェクトマネジメントを進めて

きたという人にも参考になる1冊だと思われる。

【目次】(「BOOK」データベースより)
1 プロジェクトの現実を知る-プロジェクトの実情、成否の分かれ目/2 プロジェクトを立ち上げる-「成功する計画」の策定/3 プロジェクトを回転させる-メンバーのモチベーションを高め続ける/4 プロジェクトを完成させる-「パーフェクトな成功」の最終条件/5 プロジェクトを振り返る-成功スパイラルを生み出すために/Finish プロジェクトラーニング-学習するプロジェクト

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2012年3月 7日 (水)

小倉昌男さんの『経営学』を読んでみた

小倉さんの『小倉昌男経営学』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、「儲からない」といわれた個人宅配の市場を

切り開き、「宅急便」によって人々の生活の常識を変えた

ヤマト運輸元社長の小倉昌男さんの経営論である。

まず、印象的なのは「サービスが先、利益は後」という

考え方に現れている経営姿勢である。

これは、サービスとコストは、二律背反の関係にあるが、

サービス向上によるプラス効果が売上高の増加として

つかめたとしても、売上を左右する要因が様々である

ため、効果が測りにくいのに対して、コストの増加は

数値として正確に把握できる。

しかし、把握するためにデータを揃える社員の給料

などを考えると、かえってコスト高を招くだろうと、

分かりやすく「サービスが先、利益は後」という

モットーを掲げるのが経営者のなすべき事だと

はっきりと宣言してみせるところが小倉流なのだ。

また、「全員経営」という考え方も印象的である。

これは経営の目的や目標を明確にしたうえで、

仕事のやり方を細かく規定せずに社員に任せ、

自分の仕事を責任をもって遂行してもらうものである。

そのため、第一線の社員の能力を重視し、年功序列

といった旧態の人事を排除することにより、社内の

コミュニケーションを図ることに重きを置くのである。

その一方で、正確で公正な人事考課の制度を確立

するのは至難の業であるとして、部下の目で見た

「下からの評価」と同僚による「横からの評価」を

取り入れて、社員の「人柄」を評価するとしている。

実力主義ではあるが、その実力は「人柄」として

評価されるという古いようでいて新しいものである。

最後に、小倉さんの「経営リーダー10の条件」を

紹介させていただくことにする。

①論理的思考
 経営者にとって1番必要なもの
②時代の風を読む
 企業は社会的な存在である
③戦略的思考
 戦術レベルの発想に止まっていてはいけない
④攻めの経営
 神髄は需要を作り出すところにある
⑤行政に頼らぬ自立の精神
 結果に責任を持たなければならない
⑥政治家に頼るな、自助努力あるのみ
 中途半端な解決は百年の悔いを残す
⑦マスコミとの良い関係
 宣伝ではなく、優れた広報マインドが要求されている
⑧明るい性格
 「ねあか」で「謙虚」なら、さらに良い
⑨身銭を切ること
 会社から報酬をもらい、社員のために身銭を切る
⑩高い倫理観
 人格者に人徳があるように、会社にも「社徳」が必要

尊敬すべき経営者の1人である。

本物の経営者というものに出会ったことがない人に

ぜひおススメの1冊である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1部 牛丼とマンハッタン-宅急便前史(宅急便前史/私の学習時代/市場の転換-商業貨物から個人宅配へ ほか)/第2部 サービスは市場を創造する-宅急便の経営学(宅急便の開発/サービスの差別化/サービスとコストの問題 ほか)/第3部 私の経営哲学(組織の活性化/経営リーダー10の条件)

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2012年3月 6日 (火)

三浦展さんの『格差が遺伝する!』を読んでみた

三浦さんの『格差が遺伝する!
子どもの下流化を防ぐには』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、子どもの下流化を防ぐには親がいったい

何をしなければいけないかということが分かるだけ

ではなく、すでについてしまった差を認識するのに

格好の材料を提供してくれている。

たとえば次のような点は親としてとても気になる。

・父親の所得が高いと子どもの成績はよい
・貯蓄と子どもの成績も比例する
・母親が勉強嫌いだった場合でも、
 子どもの成績が悪いとは限らない
・成績のよい子は親子の会話が多い
・個室があるかどうかと成績は無関係
・祖父の学歴も関係ある
・母親は娘に自分よりいい成績を求める
・ゆとり教育に対する評価は低い
・親は実用的な教育を求めている

格差はすでに広がっており、祖父にまでさかのぼる

とすれば、何の罪もない子供はどうすればいいのか。

中には因果関係のあやしいものもあるが、本当に

格差が遺伝してしまい、逆転のチャンスがないの

だとすると、そのような社会が健全であるとは思えない。

ただ、少し救いなのは、ゆとり教育が修正されてきた点

くらいだろうか。

依然として、親の所得格差が子の学力の差となり、

格差が遺伝する構図は解消されてはいないが、

教育改革は格差是正の第一歩である。

確かに、他の三浦さんの本と同じく、サンプル数の

問題があるとはいえ、気になるデータ満載である。

小中学生くらいの子を持つ親は、ぜひ一度読んで

みると、子育てにおける意識が変わるはずである。

【目次】
はじめに
第1章 子どもの成績は親の経済力に比例する
第2章 母親が子どもの成績を左右する
第3章 食生活が成績の上下を分ける
第4章 頭のよい子はどんな子か?
第5章 「生活の質」の格差が階層の固定化を生む
第6章 子どもを中学受験させる親、させない親
第7章 母親たちの満足と不安
参考 母親の4タイプと子どもの成績
おわりに
あとがき

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2012年3月 5日 (月)

金哲彦さんの『3時間台で完走するマラソン』を読んでみた

金さんの『3時間台で完走するマラソン
まずはウォーキングから』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、現在のマラソンブームの中にあって

名コーチの呼び声の高い金哲彦さんの本です。

金さんは1964年の生まれで私より少し年上。

早稲田大学時代は箱根駅伝で4年連続で

山登りの5区を担当し、区間賞を2度獲得し、

84年と85年のチーム優勝に貢献した人。

また、リクルート入社後は、リクルートに

陸上競技部がなかったため、新たに部を創設。

87年に別府大分毎日マラソンで3位入賞する

など、選手としてももちろん活躍した人だが、

現役引退後、リクルートランニングクラブで

小出義雄監督とともにコーチとして活躍。

有森裕子や高橋尚子などオリンピックメダリストの

女子アスリートの強化に尽力した人としても知られる。

何でも本から知識を得て始める性格の私は

メタボ寸前の運動不足の体型から突然マラソンを

走ってみたいと一大決心をし、この本を手に取った。

しかし、まったくマラソンの経験のない私には

この新書から理論を手に入れることができても

それを実際に体にやらせるためのノウハウが

不足しすぎていたと今では分かる。

特に初心者は、もっと大きめの判の写真や図解が

豊富な本を1冊目には買うべきであると思う。

もちろん金さんも、そういう本を出している。

この本は、そういった本の次に買うと効果がある。

私は大好きな高橋尚子さんのDVD付の『ランニング

パーフェクトマスター』が出版されるまでは、

金さんの他の本と小出義雄さんの『知識ゼロからの

ジョギング&マラソン入門』を読んで走っていた。

この本のいいところは、初心者が知りたい情報が

網羅されているので、辞書のように使えるところ。

シューズを買う前に開いて読み、膝が痛くなったら

開いて読み、試合が近づいてきたら開いて読みと

常に疑問に答えてくれる名コーチなのである。

この本に最初に出合えたからこそ、運動不足で

季節が変わるたびにズボンのサイズをアップさせて

いた私が、1年以上も通勤時に駅で階段を使い、

天気のいい土日には子供と公園をゆっくりでも

走ることを習慣に出来たのだと思う。

試合の結果は、まだハーフを歩いてゴールする程度で

フルマラソンは途中棄権してしまうレベルだが、

来年は必ずフルマラソンを完走できる体を作りたい。

まだまだ、この本を読み返す日々が続きそうだ。

そしていつの日か、3時間台でマラソンを完走する日を

迎えてみたいと思う。(まずは完走からだけど)

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 フルマラソンを完走する魅力/第2章 トレーニングの基礎知識/第3章 目標は完走 6時間以内で完走する!初心者マラソントレーニング/第4章 目指せ、サブ4 4時間以内で完走する!中級者マラソントレーニング/第5章 夢のサブ3 3時間以内で完走する!上級者マラソントレーニング/第6章 今からでも大丈夫 時間がないあなたへ駆け込み30日トレーニング/第7章 マラソンあれこれQ&A

3時間台で完走す...

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2012年3月 4日 (日)

松下芳生さんの『マーケティング戦略ハンドブック改訂版』を読んでみた

松下さんの『マーケティング戦略
ハンドブック』[改訂版]を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、マーケティング戦略の基本をしっかり

理解するため、その知識を厳選してわかりやすく

まとめてくれている。

マーケティング戦略の基本は、次の4つのPをいかに

相互に連携させ相乗効果を発揮させるかということ。

・製品戦略(Product)
 ターゲット顧客を確定し、ニーズに適合する
 製品にかかわる諸々の手段を決定
・価格戦略(Price)
 顧客にとっての製品の価値など、価格水準を決定
・流通戦略(Place)
 顧客が容易にアクセスできるルートの確保・開拓
・プロモーション戦略(Promotion)
 顧客に製品を知ってもらい、関心をもって購買に
 向かってもらえるように情報伝達手段や販売促進
 手段を決定

そして、この売り手の視点に立った4Pを顧客の

視点に立った次の4つのCに置き直して検討する

ことが望ましいとされる。

・顧客にとっての価値(Customer Value)
・顧客の負担(Cost to the Customer)
・入手の容易性(Convenience)
・コミュニケーション(Communication)

これらの基本戦略に従って、前半の3章が基本編、

後半がより具体的な応用編となっていて、いずれも

参考になる。

改訂版で追加されたWeb2.0がすでに古くなって

しまっているなどの物足りなさはあるが全体としては、

とてもよくまとまっていて、これからマーケティングを

勉強しようとしている私のような初心者には最適。

図表も充実しているし、内容も簡潔にまとめられて

いて、入門書としては手ごろな新書であった。

【目次】(「BOOK」データベースより)
基本編(マーケティング戦略/セグメンテーション戦略/マーケティング・ミックス戦略)/応用編(マーケティング・リサーチ/製品市場戦略/ブランド戦略/CRM戦略/コンタクトセンター戦略/セールス/セールス・プロセス戦略/リテール/ストアフロント戦略/Web2.0時代のマーケティング/ホスピタリティ・マネジメント/マーケティングとリスクマネジメント/海外でのマーケティング)

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2012年3月 3日 (土)

横山光昭さんの『年収200万円からの貯金生活宣言』を読んでみた

横山さんの『年収200万円からの貯金生活宣言
正しいお金の使い方編』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、『年収200万円からの貯金生活宣言』の続編

であるが、巻末に「特別ふろく」として、横山式90日貯金

プログラムのおさらいが付いているので、この本から

読んでも特に問題はないと思われる。

もちろん詳細は前著を読むに限るが、ここにはプログラム

の項目だけ書かせていただく。

「プログラムに取り組む前にする4つのこと」
①目標・願望をハッキリと具体化させる
②夢ノートと家計簿を用意する
③貯金箱と貯金用口座を用意する
④気がかりなことを書きだす

「プログラム実行中にする7つのこと」
①本を読む
②家計簿をつける
③新しいモノサシで使い道を把握する
④夢ノートに3行日記をつける
⑤クレジットカードは使わない
⑥借金を洗いだす
⑦自分との小さな約束をする

「プログラムを終えてからする4つのこと」
①90日後の夢ノートと家計簿から自分を知る
②習慣化させるために90日プログラムを繰り返す
③フレキシブルに調整をはかる
④数字で自分をコントロールする

また、家計ダイエットの9つのポイントは次のとおり。

①固定費をとことん見直す
②住居費を甘く見ない
③「消費・浪費・投資」を意識する
④赤字・金欠は生活乱れのサイン
⑤貯金できる!と思いこむ
⑥クレジットカードなしで暮らす
⑦目的・目標・楽しみを持つ
⑧損得バランスを使いこなす
⑨価値(勝ち)基準は自分で作る

この項目だけ見て、内容が想像できる人は、

すでにかなり節約意識の高い人だと思われる。

私にとっては耳の痛いことも多く書かれていたが、

それだからこそ良い本であると感じたのだろう。

雇用不安や老後の不安から節約生活が

かなり世の中に浸透してきているが

若い人の節約生活には、目的や目標がなく

自分への投資さえも節約してしまっている

残念な人を多く見かけるようになった。

今必要とされているのは、「正しいお金の使い方」

の方であると考えるのは楽天的過ぎるだろうか。

貯金だけではない、この本の良さを実際に読んで

理解してくれる人が多いことを望まずにはいられない。

【目次】(「BOOK」データベースより)
1 もっともっと貯金生活お金は使って貯めよう!(使って貯める!正しいお金の使い方/あなたの「貯まらん症候群」はどう治す?/貯金生活必勝法秘密のパワーアップツール)/2 貯金生活:大きなお金がかかるステージではどうする?(老後がとにかく不安なあなたへ/保険は悪者?人生を救う保険の選び方/備えあれば憂いなし教育費はなんとかなる/結婚は人生最大の投資or浪費?/他人には聞けない借金の真実)/特別ふろく 横山式90日貯金プログラムをおさらいしよう

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2012年3月 2日 (金)

菅原琢さんの『世論の曲解』を読んでみた

菅原さんの『世論の曲解 なぜ自民党は大敗したのか』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、2003年の選挙から郵政選挙を経た

2009年の選挙までを選挙結果や世論調査の

分析など、印象論を排したデータ分析を駆使して、

マスコミ報道の問題点や、世論調査を曲解して

惨敗した自民党の迷走を描き出している

とてもいい本だと思う。

データが満載で、自分が思っていたことと世論が

どれだけ乖離していたかや、どれだけ近かったかが、

把握できるという点でとても便利である。

中でも、もっとも面白かったデータは、小泉政権と

安倍政権の評価の差異を表にしたものだった。

小泉政権でどの層からも広く支持されていたことは、

「ハンセン病患者との和解」「自民党をぶっ壊すという

発言」「構造改革なくして成長なしという発言」であり、

ある程度の層に支持されたことは、「郵政三事業の

民営化」「郵政解散」「田中外相の更迭」「竹中氏の

入閣」「道路公団改革」といったところ。

多くの人が小泉さんの発言を好意的に受け止め

改革を支持していたことがはっきり分かる。

それに対して、小泉政権で支持されなかったことは

「人生いろいろ発言」「靖国神社への参拝」「中国、

韓国との外交関係」「年金制度改革」「田中氏の

外相への起用」といったところ。

このことをきちんと自民党が分析していれば、

安倍政権の評価はもっと違っていたと思うが、

そうできなかったことこそが自民党の大敗の

理由であるのだから仕方がない。

安倍政権でどの層からも広く支持されていたことは、

実は1つもない。

ある程度の層に支持されたことにしてみても、

とても支持率は低く、「憲法改正の国民投票法の成立」

「北朝鮮問題への取り組み」「中国、韓国との外交関係」

「防衛庁の省への昇格」くらいしかない。

この中で、唯一「中国、韓国との外交関係」だけが

小泉政権より、ましになっている。

あまりに酷いので支持されなかったことは挙げるまでも

ないかもしれないが、「郵政造反組の復党」が致命傷

だったことはデータからも明らかであり、自分の感覚とも

まったく同じですっきりする。

自民党が大敗した理由は、多くの人がいくつかの理由を

挙げることができるだろうが、そのどれもが自民党議員

が考えていることよりも真実に近いことだけは確かであり

この本は自民党議員こそ読むべきものなのであろう。

データで自分の意見の正しさを確かめたい方には

特におススメの1冊である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 寝た子を起こした?─2005年総選挙・郵政解散の意味/第2章 逆小泉効果神話─曲解される2007年参院選の「民意」/第3章 逆コースをたどる自民党─安倍政権はなぜ見限られたのか/第4章 「麻生人気」の謎─2007年総裁選・迷走の構図/第5章 作られた人気─「次の首相」調査の意味/第6章 世論とネット「世論」─曲解が生まれる過程/第7章 「振り子」は戻らない─2009年総選挙・自民党惨敗の表層と底流/終章 自民党大敗の教訓─世論の曲解を繰り返さないために

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2012年3月 1日 (木)

ジャネット・ロウさんの『ビル・ミラーの株式投資戦略』を読んでみた

ジャネット・ロウさんの『ビル・ミラーの株式投資戦略
S&P 500に15年連勝した全米最強の投資家』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、ウォーレン・バフェットやピーター・リンチと

共に3大投資家と呼ばれるビル・ミラーのバリュー

投資について、なぜ激変する経済環境の中で勝ち

続けることができたのかということが書かれている。

特にバフェットなどと比較して面白いと思うのは、

ハイテク企業にバリュー投資手法を応用した点である。

これこそがこの本の中心をなす投資の秘訣であり、

最も興味深い点でもある。

できるかどうかは別問題だが、次のような「投資原則」

は参考にすべきものであるように思う。

①バリュー投資を基本とし、環境変化に応じて
 投資戦略を進化させる
②競争力のあるものを伸ばし、ないものは除いていく
③経済と株式市場について、観察はするが、
 予想は行わない
④優れたビジネスモデルを持ち、長期間にわたって
 投資利益率の高い企業を選び出す
⑤心理的要素によって動かされる誤った考え方に
 翻弄されることなく、それを利用する
⑥本質的な価値の中心値と比べて大幅に割安な
 価格で事業を買う
⑦最も低い平均購入コストで勝ちを得る
⑧15~50銘柄に絞り込んだポートフォリオを育成する
⑨銘柄選択の正解率を上げるのではなく、
 ポートフォリオの予想利回りの最大化を目指す
⑩株を売却するのは、(1)株価が本質的価値に到達
 したとき(ただし、バリュー評価は見直しされることが
 ある)、(2)よりよい買い物を見つけたとき、
 (3)投資の根本的な考え方を変えたとき

本質的にはバリュー投資を行っているバフェットと

考え方が非常によく似ていると思うが、決定的な

違いはハイテク株への取り組みの有無である。

ハイテク銘柄が増えてきている現状では、バフェットの

投資方針に物足りなさを感じている人もいると思う。

そんな人にはぜひ読んでいただきたい1冊である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 バリュー投資の新しいスター/第2章 ビル・ミラーの思考方法-投資以外の分野からアイデアをもらう/第3章 価値評価の方法-シナリオ分析で将来の価値を測る/第4章 ポートフォリオ・マネジメント-割安であれば持ち続ける/第5章 IT産業のバリュー評価-バフェットの知恵をハイテクに活かす/第6章 ハイテクへの規制/第7章 オールド・エコノミーの評価-みんなが嫌っている銘柄が成長する

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