岡本吏郎さんの『サラリーマンのためのお金サバイバル術』を読んでみた
岡本さんの『サラリーマンのためのお金サバイバル術
家・車・保険、「人並み」な買い物が破滅を招く』を読んでみた
(5つが最高)
この本は、サラリーマンのお金についての「一般解」を
「収入よりも少ない支出で生活すればいい」という
当たり前のところから始めて、岡本さんの体験から
どのように導けるかという構成になっている。
岡本さんのやり方が「一般解」であるかどうかは
疑問に思う人もいるかもしれないが、
方向性については多くの人が同意するだろう。
ただ、最近の若者が貯蓄志向が強いことからも
分かるとおり、もうすでに浪費によって経済を
支えてくれる人たちは僅かしかいなくなっている
現状では、皆がこの本のとおりに「少ない支出」で
生活するようになると、結局は誰も得をしない。
「人並み」という幻想を追って多くの人が
家・車・保険を買ってくれてこその日本経済である。
もし、皆がその幻想を捨て去るというのであれば
そのときこそ本当の意味での「サバイバル」が
必要とされるのではないだろうか。
その意味では、この本には「サバイバル術」に
ついての記述はそれほど多くない。
ただ、後半のサラリーマンの運用については
多くの人が指摘していることではあるが、
より具体的で参考になると思う。
ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・トービンの
言ったことの要約として岡本さんは
『運用で大事なことは、リスク資産と無リスク資産の比率』
と言い切っているとおり、どのような配分が適切か
ということをまず考えなければならない。
岡本さんはその際にサラリーマンの仕事を
無リスク資産とし、住宅をローンで購入することを
リスク資産として、それでもリスク資産に
投資するのであればインデックスファンドかETFで
世界市場を積立で買うことを薦めています。
これは私が株式や新興国ファンドで損をし続けて
得た結論とまったく同じで面白みはないが、
市場の先が読める特別な人を除けば
サラリーマンにとっての「一般解」はこれ以外にない。
私は市場の取引(バクチ)が好きなのでFXも
少しやっているが、それで利益が得られるとは
まったく考えていないので、単なる遊びであるが、
本当の運用先は日本以外のインデックスファンドである。
しかも、毎月小額の積立とくれば、運用は面白くない。
けれど、サラリーマンの仕事がリスク資産になってきた
昨今の状況を考えれば、サラリーマンがこれ以上
リスク資産を持つ必要はないし、そもそも運用で
楽しめるほど余裕があるサラリーマンなんていない
と考えるほうが正しいのであろう。
リストラされたときに備えて現金を持っておき、
ある程度貯まったら住宅ローンの繰上げ返済にまわす、
そんなところが最も現実的な「運用」なのかもしれない。
【参考図書】(一部省略)
『人間安田善次郎』 織田誠夫 経済展望社
『富の活動』 安田善次郎 大和出版
『私の財産告白』 本多静六 実業之日本社
『敗者のゲーム』 チャールズ・エリス 日本経済新聞社
『ウォール街のランダム・ウォーカー』 バートン・マルキール 日本経済新聞社
『大衆操作の系譜』 渋谷重光 勁草書房
『証券投資の思想革命』 ピーター・L・バーンスタイン 東洋経済新報社
『振り子の金融史観』 平山賢一 シグマベイスキャピタル
『日本経済のリスクプレミアム』 山口勝業 東洋経済新報社
『ウォルマート』 ボブ・オルテガ 日経BP社
『インデックスファンドの時代』 ジョン・C・ボーグル 東洋経済新報社
【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 サラリーマンの“お金の大原則”─実は、家1軒分のお金はカンタンに貯まる(誰でもわかる算数/便利という“分断”/奴隷制度は続いている? ほか)/第2章 サラリーマンのお金の使い方を考える─今すぐ年収の3割を貯金すべき理由(基本編/住居費─住宅って、こういうものだったんだぁ!!/社会保険料─貧困の元凶 ほか)/第3章 サラリーマンの運用を考える─余裕資金が貯まったら、次は“世界市場”を買う(配分をどうするか?─運用の前に考えておくこと/株式/投資信託(アクティブ投信)─みんなに投資信託を買ってもらおう!! ほか)/エピローグ─世界で一番やさしい算数
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