安岡正篤さんの『論語の活学』を読んでみた
安岡さんの『論語の活学』を読んでみた
(5つが最高)
この本は、小宮一慶さんがその著作の中でたびたび
推薦していたので手にとってみた。
中国好きの私にもかかわらず、安岡さんの本は今まで
読む機会に恵まれずにきたが、とても面白かった。
論語自体は教科書で読む以外にも、かなりいろいろな
人の訳や解説書に触れてきたが、しばらく読んでいな
かったので、懐かしい気がした。
もちろん、かつて若い頃に読んだときの感想と、不惑の
40代になった現在の感想とでは、大きく異なることは
当然のことだが、それ以上に今の置かれている状況
から来る興味に引きずられて読むことになった。
中でも一番気になったところは、孔子が高く評価した
晏子(晏平仲)という宰相の話。
とても地位ある人にもかかわらず、私生活には極めて
無頓着な人で、同じ皮ごろもを30年も着古したという
人だが、彼があるとき「見受けるところ、お前の女房も
だいぶくたびれて、あれでは気の毒だ。妾を持ったら
どうだ」と言われて、返した言葉が実に良い。
「なるほど、いかにも皺くちゃでみっともない女房には
違いありませんが、それも私に連れ添うて苦労したため
にああなりましたので・・・・・」
夫婦生活も長くなってくると、なかなか理想どおりには
いかないものであるが、見習いたいものだ。
また、論語を読み進める一方で安岡さんなりのものの
見方に触れられるのも、この本の特長である。
たとえば、「驕かつ吝」は仁の反対で徳がないことである
としたうえで、マルクスという人間もやっぱり驕かつ吝
なる人間であると切り捨てている。
スターリンや毛沢東も、その点で非人間的な性格を
持っていると、これまたバッサリと切り捨てている。
論語に関する解説の面白さのみではない、深い味わい
のある1冊である。
【目次】(「BOOK」データベースより)
1 論語の人間像(孔子を生んだ時代相/最も偉大な人間通-孔子の人間観/理想的人間像-晏子、子産、周公、蘧伯玉/孔子学園の俊秀たち-子路、顔回、子貢、会参)/2 論語読みの論語知らず(孔子人間学の定理-「利」の本は「義」なり/論語の文字学-孝、疾、忠、恕/論語の活読・活学-古典の秘義を解く鍵)/3 論語為政抄(孔子について-講義草案ノート)
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