タイラー・コーエンさんの『創造的破壊』を読んでみた
タイラー・コーエンさんの『創造的破壊
グローバル文化経済学とコンテンツ産業』を読んでみた
(5つが最高)
この本は、グローバリゼーションの功罪を文化や
コンテンツ産業を中心に解説した本である。
オーソドックスな経済学的分析とは異なるが
「物語の経済学」として、とても興味深い。
まず、グローバリゼーション論が扱う市場経済に
よって可能となった多様な生産と消費を解明する
ための調査から得られた3つの教訓はとても示唆
的である。
1.「文化の多様性という概念には、複数の意味が
あり、中には規格外のものもある」
2.「文化の同一化と差異化は、二者択一ではなく
同時に起きることが多い」
3.「異文化交易は、それぞれの社会を改変し
崩壊させるが、結局はイノベーションを支え、
人間の創造力を持続させることになる」
多様性の概念をどのように捉えるかによって解釈は
大きく変わってしまう。
たとえば、多様性を複数の社会の間の多様性とすると
社会の内部の多様性が着目されることは少ない。
しかし、新しい芸術作品が、ある社会から別の社会へ
輸出されると、二つの社会の間の多様性は低下するが
その社会の内部での多様性は高まる。
すなわち、社会間の多様性が破壊されることによって、
社会内部の多様性が創造されるというのである。
これは、いいとか悪いとかいうことではなく、
実際に世界の各地で起きていることであり
今後も起きていくことであろう。
好むと好まざるとに関わらず、私たちは創造的破壊
の中で生きていかなければならないようである。
【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 異文化間交易ーグローバリゼーションの功罪/第2章 グローバル文化の隆盛ー富と技術の役割/第3章 エートスと文化喪失の悲劇/第4章 なぜハリウッドが世界を牛耳るのか、それはいけないことなのか/第5章 衆愚化と最小公分母ーグローバリゼーション時代の消費者/第6章 「国民文化」は重要なのかー貿易と世界市民主義
![]() 【送料無料】創... |
| 固定リンク
「自己啓発」カテゴリの記事
- 滝岡幸子さんの『ど素人がはじめる起業の本』を読んでみた(2015.09.26)
- 橘玲さんの『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 2015』を読んでみた(2015.09.15)
- 高野誠鮮さんの『ローマ法王に米を食べさせた男』を読んでみた(2015.09.17)
- 荻上チキさんの『ダメ情報の見分けかた』を読んでみた(2015.08.24)
- 山崎元さんの『全面改訂 超簡単お金の運用術』を読んでみた(2015.08.19)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント