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2012年3月25日 (日)

上念司さんの『日本は破産しない!』を読んでみた

上念さんの『日本は破産しない!』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、辛坊兄弟の『日本経済の真実』や藤巻健史

さんの『日本破綻』が語る「国家破産本」とは違う、日本

は破綻しないということを分かりやすく解説した本。

今仮に国家破産の定義を「国債の償還ができなくなる

こと」としたとして、日本がアルゼンチンやギリシャの

ようになってしまうかという検証は面白い。

結論だけ書いてしまうと、固定相場制の国では国家

破産がありえるが、変動相場制の日本では円安になる

だけで国家破産のしようがないというもの。

まあ、解説を読めば確かにそのとおりでしょうという

以外にない。

日本には資産もまだたくさんあるので借金は深刻な

状況ではないということも、隠れ負債がないという前提

に立てば、肯定できる。

ただ、「政府の負債」は「国民の資産」という単純すぎる

図式は、ちょっと納得がいかない面もある。

国債を発行した分だけ政府が資産を蓄えたなら問題は

ないと思えるが、浪費しただけで何も残っていないので

あれば、それを資産としてよいものだろうか。

確かに、「政府の債務」は「国民の債権」かも知れない。

しかし、それが不良債権となることはありえる。

これほど杜撰な財政政策しか行わない政府が作った

日本のバランスシートが正しいものであると信用する

なんて、どこか変な気がする。

上念さんもこの本の後半では、デフレからの脱却を

早く政府は行うべきであると、日銀の金融政策とともに

政府を批判しているにもかかわらず、その政府が

出してくる資料は正しいことが前提だなんて、

何だか少し腑に落ちないが、まあそれは別の問題か。

また、後半のデフレの解説も、とにかく分かりやすい。

デフレはモノとお金のバランスがお金不足によって

崩れて発生する現象であり、魅力的な商品がない

とか、人口が減ったからとかいうことは原因ではない

という。

これも解説を読めば確かにそのとおりでしょうという

以外にない。

ただ、ここでもちょっとした勇み足が気になる。

人口減少は関係ないといっておきながら、人口が

減ることは将来的な労働投入量の減少を意味する

から、どちらかというとモノの供給が減る要因だ

という解説。

ここは、はっきりと人口減少はモノへの需要を減らす

一方で、モノの供給も減らすのでデフレには関係ない

ということでよかったのではないだろうか。

そんな細かいことを気にしつつも、とにかく面白くて

ためになる内容である。

私の年金暮らしの親でさえ、増税やむなしという考えに

傾いているこの時期にこそ読んでおきたい1冊である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
はじめに 日本は破産しません/第1章 「国家破産」に騙されるな/第2章 国家破産論への反駁/第3章 今すぐデフレを脱却せよ!/第4章 明るい未来のために、われわれができること/おわりに 失いかけていた希望を取り戻した日に

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