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2012年3月23日 (金)

ダニエル・カーネマンさんの『ダニエル・カーネマン心理と経済を語る』を読んでみた

ダニエル・カーネマンさんの
ダニエル・カーネマン心理と経済を語る』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、行動経済学の基礎を固めたダニエル・

カーネマンのノーベル賞記念講演や自伝を

1冊にまとめて出版されたものである。

ダニエル・カーネマンはもともとは心理学者であり、

プリストン大学名誉教授である。

2002年にノーベル経済学賞を「心理学的研究から

得られた洞察を経済学に統合した功績により」受賞。

イスラエル軍での兵役を務めたのち、米国へ留学。

カリフォルニア大学バークレー校で心理学の博士号を

取得後、その研究が行動経済学の誕生とノーベル賞

受賞につながった人物である。

残念ながら共同研究者のトヴェルスキーは1996年に

病死しているためノーベル賞の受賞には至らなかった。

そして、カーネマンの生み出した「行動経済学」の主張は

「人間の非合理性」を強調するものなどではなく、

人間が不確実な状況下で下す判断や意思決定には、

合理的ではないが、ある種の傾向が見られるということを

主張するもので、それが「人間の限定合理性」ということだ。

そのため、完全に合理的な人間を仮定する旧来の経済学

には不都合かもしれないが、人間の行動がまったくの

非合理的なもので、とらえどころがないわけではない。

カーネマンの行動経済学関連の業績をまとめると

次の3つになる。

①ヒューリスティクとバイアスの研究
②プロスペクト理論に関連する研究
③効用概念の再検討と幸福に関する研究

その中で、ノーベル賞記念講演で触れられている

プロスペクト理論に関する箇所では次のように

述べられている。

『プロスペクト理論には、効用関数ではなくて、
価値関数というものがあるんです。(略)
これには二つ重要な特徴があります。それは、
不確実な状況で人が選択をする時にどういう
行動をとるかについて、二つのまったく新しい
予測を伴うものです。最初の特徴は、私たちが
「損失回避性」と名付けたもので、人は何かを
得る時よりも、何かを失う場合の方に強く反応
するというものです。実際、この反応は二倍も
強いのです。(略)
もう一つ、(略)人が意思決定をする時、損失の
領域、つまり負の選択に直面した時にはリスクを
追求する傾向があり、逆に利得の領域では
リスク回避的であるということです。』

これは、株式投資などで、利が乗るとすぐに売却

したくなり、含み損が出ると必ず戻るはずと粘って

しまうことにピタリと当てはまる。

そのほかにも、この本の内容は充実している。

もちろん、行動心理学の解説書などのような包括的な

説明でないことは、本のスタイルからして仕方がない

ことだが、私のように行動経済学に興味をもった人が

カーネマンとトヴェルスキーの著作を読んでみたいと

邦訳を探しているなら是非読むことをオススメする。

【目次】
第1章 ノーベル賞記念講演 限定合理性の地図
第2章 自伝
第3章 効用最大化と経験効用
第4章 主観的な満足の測定に関する進展

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