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2012年3月 2日 (金)

菅原琢さんの『世論の曲解』を読んでみた

菅原さんの『世論の曲解 なぜ自民党は大敗したのか』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、2003年の選挙から郵政選挙を経た

2009年の選挙までを選挙結果や世論調査の

分析など、印象論を排したデータ分析を駆使して、

マスコミ報道の問題点や、世論調査を曲解して

惨敗した自民党の迷走を描き出している

とてもいい本だと思う。

データが満載で、自分が思っていたことと世論が

どれだけ乖離していたかや、どれだけ近かったかが、

把握できるという点でとても便利である。

中でも、もっとも面白かったデータは、小泉政権と

安倍政権の評価の差異を表にしたものだった。

小泉政権でどの層からも広く支持されていたことは、

「ハンセン病患者との和解」「自民党をぶっ壊すという

発言」「構造改革なくして成長なしという発言」であり、

ある程度の層に支持されたことは、「郵政三事業の

民営化」「郵政解散」「田中外相の更迭」「竹中氏の

入閣」「道路公団改革」といったところ。

多くの人が小泉さんの発言を好意的に受け止め

改革を支持していたことがはっきり分かる。

それに対して、小泉政権で支持されなかったことは

「人生いろいろ発言」「靖国神社への参拝」「中国、

韓国との外交関係」「年金制度改革」「田中氏の

外相への起用」といったところ。

このことをきちんと自民党が分析していれば、

安倍政権の評価はもっと違っていたと思うが、

そうできなかったことこそが自民党の大敗の

理由であるのだから仕方がない。

安倍政権でどの層からも広く支持されていたことは、

実は1つもない。

ある程度の層に支持されたことにしてみても、

とても支持率は低く、「憲法改正の国民投票法の成立」

「北朝鮮問題への取り組み」「中国、韓国との外交関係」

「防衛庁の省への昇格」くらいしかない。

この中で、唯一「中国、韓国との外交関係」だけが

小泉政権より、ましになっている。

あまりに酷いので支持されなかったことは挙げるまでも

ないかもしれないが、「郵政造反組の復党」が致命傷

だったことはデータからも明らかであり、自分の感覚とも

まったく同じですっきりする。

自民党が大敗した理由は、多くの人がいくつかの理由を

挙げることができるだろうが、そのどれもが自民党議員

が考えていることよりも真実に近いことだけは確かであり

この本は自民党議員こそ読むべきものなのであろう。

データで自分の意見の正しさを確かめたい方には

特におススメの1冊である。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 寝た子を起こした?─2005年総選挙・郵政解散の意味/第2章 逆小泉効果神話─曲解される2007年参院選の「民意」/第3章 逆コースをたどる自民党─安倍政権はなぜ見限られたのか/第4章 「麻生人気」の謎─2007年総裁選・迷走の構図/第5章 作られた人気─「次の首相」調査の意味/第6章 世論とネット「世論」─曲解が生まれる過程/第7章 「振り子」は戻らない─2009年総選挙・自民党惨敗の表層と底流/終章 自民党大敗の教訓─世論の曲解を繰り返さないために

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