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2012年4月20日 (金)

池田信夫さんの『イノベーションとは何か』を読んでみた

池田さんの『イノベーションとは何か』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、最近評判の悪い池田さんの本である。

なぜ評判が悪いかは、ここに書くまでもないが

エネルギー問題を客観的に論じているつもりが

いつの間にか原発擁護派ということで、批判に

曝されることになった立ち位置の取り方は

この本にも共通している気がする。

たぶん池田さんは頭が良い人なのだと思うが

残念ながら人間というものが分かっていない。

世の中のみんなが池田さんみたいな人なら

池田さんの言っていることも通じるのだろうが

実際にはいろいろな人がいるのだ。

この本の中でも、池田さんは自分の考えは必ず

正しくて、他人の成功は「まぐれ当たり」だと

いうことを平気で書いている。

「イノベーションの本質は技術ではなく、この

ビジネスモデルにある」とか、「イノベーションに

技術が不要だというわけではないが、すぐれた

技術が大きな利益をもたらすとは限らない」と

書いておきながら、ソフトバンクがADSL事業に

参入してから偶然新しい技術が見つかったので

「まぐれ当たり」だというようなことを書いている。

しかし、ビジネスモデルが重要であるのなら

モデムを無料で配るビジネスモデルが成功した

のであり、ADSLの技術が後から発見された

ことは問題ではないのではないだろうか。

ソフトバンクは、どのみち使える技術を探し当てた

はずであり、これを偶然と言ってしまうなら、

全てがそろってからでないとイノベーションは

起きないことになってしまう。

では、これだけ批判めいたことを書いてきた

この本を高く評価したのはなぜかというと、

とにかく分かりやすくまとめられていて、

批判的に読むととても面白く読めるからである。

結局のところ、イノベーションとは何かということが

分かっても、どのように生み出すかが分からな

ければ意味がないのではあるが、まず前提を

知っておくべきことは有益である。

そういった意味で、この本は読んでおく価値が

あると思う。

但し、池田さんが参考にした本を読んでいる人に

とっては、それほど価値はない。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 イノベーションはどこから生まれるのか/第2章 フレーミングの転換/第3章 プラットフォーム競争/第4章 ものづくリからアートへ/第5章 起業とファイナンス/第6章 成長のエンジン/第7章 知的財産権はイノベーションを高めるか/第8章 日本の挫折/終章 イノベーションの可能性

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2012年4月19日 (木)

金哲彦さんの『金哲彦のマラソンレ-ス必勝法42』を読んでみた

金さんの『金哲彦のマラソンレ-ス必勝法42』を読んでみた

 (5つが最高)

この本では、マラソンの名コーチ金哲彦さんが誰でも

レースの10日前から読むだけで速くなれる42の方法

を紹介してくれている。

1つ目がレース10日前で、後は距離ごとの必勝法が

並んでおり、40以降はレース後という構成。

驚いたのは、24番目の究極のトイレ術として、

走りながらトイレを済ましてしまうというもの。

金さんも土砂降りの雨の中で試したことがあるというが

さすがに私はそこまでタイムを気にして走っていない

ので、普通にトイレに行こうと思うが、やはりトップ選手

ともなると、そこまでする人も実際にいるらしい。

まあ、そういった究極のワザ以外にも、普通の初心者

やマラソン愛好家でも参考になるワザが満載なので

ぜひ1度読んでみていただきたい。

金さんの本の中でもレースのアドバイスに限れば

もっともまとまっていて参考になった。

ただ、欠点は本の体裁が辞書のようなつくりで

少し大きな分厚い表紙が長時間読んでいると

手に食い込んでくる感じがして読みにくい。

その点さえ我慢すれば、レース前に読む本としては

最適だと思う。

【目次】(「BOOK」データベースより)
はじめに チャレンジするアスリートたちへ/マラソンレース必勝法(レース10日前/レース3日前/レース前日/レース当日朝/レース直前/レース5km/レース10km ほか)/おわりに レースの失敗は人生を豊かにする

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2012年4月18日 (水)

森永卓郎さんの『ニュースのウラ読み経済学』を読んでみた

森永さんの『ニュースのウラ読み経済学』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、内容的には悪くないし、森永さんらしい

主張も満載で楽しめる。

ただ、タイトルの「ニュースのウラ読み」というのは

どうだろうか。

ほとんどTVのニュースを見ず、新聞もあまり読まない

私がいえる立場にないが、この本に書いてあることは

「ウラ」というよりは、真っ当な「オモテ」のことなのでは

ないだろうか。

これが本当に「ウラ」だとすると、「オモテ」はトンデモ

ナイことになっている気がするのだが、、、

特に面白かったところは次の2点。

1つ目は、P97からの、「政府紙幣」を発行せよ。

『日銀が通貨供給をする際は、国債などを購入して
その代金を日銀券で支払うという形をとります。
そして、国債の金利から日銀の経費を差し引いた
ものが、通貨発行益として政府に納められるのです
が、政府紙幣だと発行額から諸経費を引いた分が、
まるまる政府の造幣益となるので、その分も景気
対策に活用できるのです』

この後の政府紙幣を使ったコストゼロの景気対策が

森永さんらしくて面白い。

50兆円を発行し、財政出動に25兆円、市場を通じて

国内株式を買うのに25兆円。

2009年末の株価は安いから、いずれ株価は2倍に

なって、50兆円で売れるのでコストゼロ。

その2倍になった株価を買い支える人が誰なのか

書かれていないところが、この話のミソ。

2つ目は、P171からの、多少無理しても家を買って

おこう。

デフレで年収の5倍で家が買えるようになったので

家は買うべきだという意見。

ただ、価格が安くなっただけが理由ではないというが

その他の理由が、ちょっと考えさせられる。

①賃貸物件だと収入が途絶えたとき家賃が払えず、
 仕事と家を同時に失ってしまう。
②高齢になると家賃を払う資力があっても、家主が
 家を貸したがらなくなってしまう。

①は、ローンを組んで買えば、やっぱりそのうち

出て行かなくてはならないので、あまり理由になら

ない気もするが、②は、実際に起きていることなので

意識してもいい理由かもしれない。

まあ、家を借りるか買うかは、まったく経済合理性

とは関係ないところで決まるというのが私の意見

なので、年収の5倍が買うのに適しているかどうか

は正直わからない。

けれど、家を買うのはナンセンスだという意見が

多い中で、あえて家を買うべきだという意見は

これまた森永さんらしくて面白かった。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 国際経済の真相を見抜け(「リーマン・ショック」の真相/アメリカ型「金融資本主義」の終焉 ほか)/第2章 日本の経済政策は信頼できるか(「日本の財政」は大丈夫か/「消費税」増税は無用 ほか)/第3章 ニュースや新聞を深読みせよ(官僚の「天下り」を阻止せよ/「日経平均株価」は一万六〇〇〇円になる ほか)/第4章 モリタク流生活防衛のススメ(会社はビジネススクールと心得よ/生き残りたければ新聞の横読みをせよ ほか)

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2012年4月17日 (火)

田島弓子さんの『プレイングマネジャーの教科書』を読んでみた

田島さんの『プレイングマネジャーの教科書』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、マイクロソフトにおいて個人とチームで

社長賞を受賞した経験を持つ、元マイクロソフトの

敏腕営業部長であった田島さんがプレイング

マネジャーの仕事術について書いた本である。

特徴的なのはビジネス・コミュニケーションを重視し、

かつてのライオン型の強いリーダーシップではなく、

「調整力」を発揮し、チームをまとめて、チームで

成果を出すシマウマ型マネジャーの「マネジャー

シップ」が求められていると主張している点。

人と人や組織と組織をつなぐ「ハブ」のような役割を

求められ、自分のノルマを抱えつつ上司と部下の

間にも入るマネジャーという仕事の進め方は、

現在マネジャーでなくても参考になるところが多い。

ただ、残念なのは、事例が田島さんが経験した、

きちんとした大企業の中でのコミュニケーションに

限られていること。

クセモノ上司として出てくるのも、ホントはいい人に

違いない鬼軍曹上司どまりで、コミュニケーションで

何とかできるレベルでしかない。

けれど、本当に厳しいのは、コミュニケーションでは

どうにもならないパワハラ上司や、まったく使い物に

ならない部下とどのように仕事を進めるべきなのか

ということではないだろうか。

コミュニケーションを「仕組化」することや「ツール」や

「フレーズ」で関係改善を図ることは、抵抗があり

つつも、まだ何となくゲーム感覚でついて行ける

範囲である。

そのこと自体、本にして他人の参考とすることも

理解ができる。

しかしながら、それだけというのでは、何となく物足り

ないのも事実である。

コミュニケーションで解決できないような社員がいる

中小企業にしか入れない奴がバカなんだと言われ

ればそれまでであるが、そういったところで日々

頑張っている人に向けた本があってもいいと思う。

田島さんの本が、あまりにもスマートだったので

関係ない感想ばかり書き過ぎたが、マネジャーの

基本ができているか確認するという意味では

とてもオーソドックスで信頼にたる1冊である。

最後に私にとって参考になった「外資の知恵」は

次のとおり。

①あえて下手な英語で話す
 「英語がうまい」と感心させるより、「この人の提案は
 正しい」と思わせることのほうが、はるかに大切。
②相手のフレーズをどんどん真似する
 同じ単語、言い回しを使うと、お互いに理解しやすく
 なる
③英文メールはシンプル・数字・ストレート
 1文を長くしない
 長い説明より、一目でわかる数字やデータを活用
 冒頭と末尾がメールの成否を決める
 気を遣わずダイレクトに表現する
④「お助けツール」を使いこなす
 パソコン上でのインスタントメッセージ、メール、人
 など活用できるものは全部駆使して、英語に対する
 自分の労力を減らす

【目次】(「BOOK」データベースより)
はじめに 数字・部下管理・板ばさみ・多忙で激務。“四重苦”の中で日々奮闘している中間管理職のあなたへ/1 気が弱い人ほど「課長業」はうまくいく!/2 5秒でできるコミュニケーション!「初期投資ゼロ」の即効フレーズ/3 コミュニケーションを仕組み化する/4 クセモノ&苦手な人対策「問題解決コミュニケーション」/5 プレイングマネジャーのためのトラブル時のFAQ/おわりに これからの時代のプレイングマネジャーを目指して

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2012年4月16日 (月)

中原圭介さんの『勝ち切る投資』を読んでみた

中原さんの『勝ち切る投資 お金の神様2』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、『お金の神様』の続編に当たる本です。

著者の中原さんも書いているとおり、雑誌連載もの

としては「すぐには古くならない内容」が選ばれていて

古さは感じないが、逆に切れ味の鋭さを欠いている

感じは否めない。

確かに読みごたえはあるが、「勝ち切る投資」と

言うには、現在の状況は難しすぎる。

まず、国内外に不安要素が多いため、しばらくは

耐えて守る投資にならざるを得ないのではないか。

「下がりにくい銘柄を選ぶ」ことや、「国策銘柄」に

投資するのが賢明だというのは仕方がない。

また、中原さん自身も専門家やエコノミストの意見を

ただ鵜呑みにしていてはいけないと書いているが、

今後数年で日本の状況が悪化するので、世界の

投機マネーが「日本売り」を始め日本がギリシャ化

してしまう可能性が高いという予測は、どうだろうか。

円安で利益を上げる海外売上比率の高い企業を

有望な銘柄としてリストアップしているが、本当に

円安になることはあるのだろうか。

日本がギリシャ化してしまったときに、日本企業の

株が買われるとは考えにくいが、いかがなものか。

もちろん、提示された方法論を参考に投資に対する

考え方を身に着けることが肝要だという中原さんの

指摘はもっともなことだと思う。

また、当たっている指摘が多いだけに、私と違う

見解に対しては疑問に感じることが多いのだと思う。

全体としては、読みやすく良い指摘が多い本である。

まあ、そんなことはないと思うが、もし日本が

ギリシャ化した際には、この本の評価を3から5に

引き上げなければならないだろう。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 「逆張り」は危ない!/第2章 終身保険は消えゆく消品!/第3章 金はまだまだ買われる!/第4章 「日本売り」がメインディッシュだ!/第5章 アメリカのミニバブルは最終局面!/第6章 買うなら「国策銘柄」だ!/特別付録 日本が「ギリシャ化」しても買える銘柄

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2012年4月15日 (日)

中原圭介さんの『お金の神様』を読んでみた

中原さんの『お金の神様 資産を守る、
投資で儲ける!』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、資産運用や経済に関する質問に答えた

雑誌連載のものに「検証コラム」を加えた本です。

中原さん自身は雑誌掲載時から株式の銘柄を出す

ときも、「なぜそれを選ぶのか」という考え方を伝える

ほうに重点を置いたと書いているが、やはり読む

ほうからすると、古さを感じることは仕方がない

ところだろう。

副題にもある「投資で儲ける」ということに関しては

いわゆる「楽して儲ける」ための本ではなく、真面目

に働いて収入を得ることを前提としたうえで、

「資産を守る」ための慎重な投資をすすめている。

ただ、何と言っても中原さんの魅力は株式の推奨

銘柄の的確性にあるというのが私の感想である。

もちろん、その銘柄を推奨するに至るプロセスや

経済に対する考え方も、エコノミストの中では

しっかりしていて信頼にたるものである。

たとえば、章のタイトルになっているような「保険は

掛け捨てで十分」とか「住宅ローンは借りるな」など

についても、結婚して子供がいたりすると必ずしも

経済合理性だけに基づいて判断できるわけでは

ないので、全ての人に共通するわけではないし、

中原さん自身もそんなことは主張していない。

全体としては、とてもよくまとまっており、

先見性に富んだ、良い内容の本だと思う。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 保険は掛け捨てで十分!(マンションの「買い時」はいつ?/「景気の底打ち」宣言を信じていい? ほか)/第2章 REITビジネスは終わった!(企業年金って、ちゃんと出るの?/もっとも大きく損した経験は? ほか)/第3章 住宅ローンは借りるな!(戦争が起きたら、何が買われる?/尊敬する投資家は? ほか)/第4章 毎月分配型は世界の非常識!(高成長を続ける中国に死角はない?/絶対に買ってはいけない銘柄は? ほか)/第5章 頭と尻尾はくれてやれ!(ギリシャ危機は誰の責任?/外国人はなぜ安値で日本株を売るの? ほか)

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2012年4月 1日 (日)

土井英司さんの『成功読書術』を読んでみた

土井さんの『成功読書術』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、元・Amazonのカリスマバイヤー土井さんの

ビジネス書の書評集である。

本当に刺激的で役に立つのは、長い時代を生き抜いて

きた名著ということで、古典的作品の中から選ばれた

30冊は、どれも興味深い。

とにかく、今後読んでみたいと思った本は次のとおり。

『人を動かす』デール・カーネギー
『人間性の心理学』A・H・マズロー
『影響力の武器』ロバート・B・チャルディーニ
『思考と行動における言語』S・I・ハヤカワ
『ホモ・ルーデンス』ホイジンガ
『情報の文明学』梅棹忠夫
『夜と霧』ヴィクトール・E・フランクル
『私はどうして販売外交に成功したか』フランク・ベトガー
『風姿花伝』世阿弥
『君主論』マキャヴェリ
『ビジネスは人なり投資は価値なり』ロジャー・ローウェンスタイン
『人生と財産』本多静六
『人間における勝負の研究』米長邦雄
『もっと深く、もっと楽しく』中部銀次郎
『ブーメランの法則』ファーガル・クイン
『経営に終わりはない』藤沢武夫
『真実が人を動かす』ケン・アイバーソン
『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』キングスレイ・ウォード
『学問のすゝめ』福沢諭吉
『アラン人生論集』串田孫一編
『道をひらく』松下幸之助
『経営者の条件』P・F・ドラッカー
『古代への情熱』シェリーマン

読んだことがある本ももちろんあるが、土井さんの

紹介を読んだことで再度読んでみたくなった本もある。

そういった意味で、いい読書案内であった。

【目次】(「BOOK」データベースより)
序章 読書についてーよい本との出会い方/第1章 人間探求の書(人は自分を重要なものと思いたがっているー『人を動かす』デール・カーネギー/人の欲求を述べることは、人生の本質を語ることー『人間性の心理学』A・H・マズロー ほか)/第2章 勝負師たちに学ぶ極意(販売は、情熱をともなった人間科学であるー『私はどうして販売外交に成功したか』フランク・ベトガー/秘すれば花なり、秘せずば花なるべからずー『風姿花伝』世阿弥 ほか)/第3章 教えを実践した経営者たち(種をまき続ける情熱が飛躍と持続のカギー『ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則』ジェームズ・C・コリンズ/経営とは、情緒的な自己投入と情念の力から生まれる実行力ー『プロフェッショナルマネジャー』ハロルド・ジェニーン アルヴィン・モスコー ほか)/第4章 自らを高め、人生に成功する(常識が実業界の戦いに携えていく最良の武器ー『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』キングスレイ・ウォード/物事をゼロベースで考えることの大切さー『学問のすゝめ』福沢諭吉 ほか)

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