池田信夫さんの『イノベーションとは何か』を読んでみた
池田さんの『イノベーションとは何か』を読んでみた
(5つが最高)
この本は、最近評判の悪い池田さんの本である。
なぜ評判が悪いかは、ここに書くまでもないが
エネルギー問題を客観的に論じているつもりが
いつの間にか原発擁護派ということで、批判に
曝されることになった立ち位置の取り方は
この本にも共通している気がする。
たぶん池田さんは頭が良い人なのだと思うが
残念ながら人間というものが分かっていない。
世の中のみんなが池田さんみたいな人なら
池田さんの言っていることも通じるのだろうが
実際にはいろいろな人がいるのだ。
この本の中でも、池田さんは自分の考えは必ず
正しくて、他人の成功は「まぐれ当たり」だと
いうことを平気で書いている。
「イノベーションの本質は技術ではなく、この
ビジネスモデルにある」とか、「イノベーションに
技術が不要だというわけではないが、すぐれた
技術が大きな利益をもたらすとは限らない」と
書いておきながら、ソフトバンクがADSL事業に
参入してから偶然新しい技術が見つかったので
「まぐれ当たり」だというようなことを書いている。
しかし、ビジネスモデルが重要であるのなら
モデムを無料で配るビジネスモデルが成功した
のであり、ADSLの技術が後から発見された
ことは問題ではないのではないだろうか。
ソフトバンクは、どのみち使える技術を探し当てた
はずであり、これを偶然と言ってしまうなら、
全てがそろってからでないとイノベーションは
起きないことになってしまう。
では、これだけ批判めいたことを書いてきた
この本を高く評価したのはなぜかというと、
とにかく分かりやすくまとめられていて、
批判的に読むととても面白く読めるからである。
結局のところ、イノベーションとは何かということが
分かっても、どのように生み出すかが分からな
ければ意味がないのではあるが、まず前提を
知っておくべきことは有益である。
そういった意味で、この本は読んでおく価値が
あると思う。
但し、池田さんが参考にした本を読んでいる人に
とっては、それほど価値はない。
【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 イノベーションはどこから生まれるのか/第2章 フレーミングの転換/第3章 プラットフォーム競争/第4章 ものづくリからアートへ/第5章 起業とファイナンス/第6章 成長のエンジン/第7章 知的財産権はイノベーションを高めるか/第8章 日本の挫折/終章 イノベーションの可能性
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