森永卓郎さんの『ニュースのウラ読み経済学』を読んでみた
森永さんの『ニュースのウラ読み経済学』を読んでみた
(5つが最高)
この本は、内容的には悪くないし、森永さんらしい
主張も満載で楽しめる。
ただ、タイトルの「ニュースのウラ読み」というのは
どうだろうか。
ほとんどTVのニュースを見ず、新聞もあまり読まない
私がいえる立場にないが、この本に書いてあることは
「ウラ」というよりは、真っ当な「オモテ」のことなのでは
ないだろうか。
これが本当に「ウラ」だとすると、「オモテ」はトンデモ
ナイことになっている気がするのだが、、、
特に面白かったところは次の2点。
1つ目は、P97からの、「政府紙幣」を発行せよ。
『日銀が通貨供給をする際は、国債などを購入して
その代金を日銀券で支払うという形をとります。
そして、国債の金利から日銀の経費を差し引いた
ものが、通貨発行益として政府に納められるのです
が、政府紙幣だと発行額から諸経費を引いた分が、
まるまる政府の造幣益となるので、その分も景気
対策に活用できるのです』
この後の政府紙幣を使ったコストゼロの景気対策が
森永さんらしくて面白い。
50兆円を発行し、財政出動に25兆円、市場を通じて
国内株式を買うのに25兆円。
2009年末の株価は安いから、いずれ株価は2倍に
なって、50兆円で売れるのでコストゼロ。
その2倍になった株価を買い支える人が誰なのか
書かれていないところが、この話のミソ。
2つ目は、P171からの、多少無理しても家を買って
おこう。
デフレで年収の5倍で家が買えるようになったので
家は買うべきだという意見。
ただ、価格が安くなっただけが理由ではないというが
その他の理由が、ちょっと考えさせられる。
①賃貸物件だと収入が途絶えたとき家賃が払えず、
仕事と家を同時に失ってしまう。
②高齢になると家賃を払う資力があっても、家主が
家を貸したがらなくなってしまう。
①は、ローンを組んで買えば、やっぱりそのうち
出て行かなくてはならないので、あまり理由になら
ない気もするが、②は、実際に起きていることなので
意識してもいい理由かもしれない。
まあ、家を借りるか買うかは、まったく経済合理性
とは関係ないところで決まるというのが私の意見
なので、年収の5倍が買うのに適しているかどうか
は正直わからない。
けれど、家を買うのはナンセンスだという意見が
多い中で、あえて家を買うべきだという意見は
これまた森永さんらしくて面白かった。
【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 国際経済の真相を見抜け(「リーマン・ショック」の真相/アメリカ型「金融資本主義」の終焉 ほか)/第2章 日本の経済政策は信頼できるか(「日本の財政」は大丈夫か/「消費税」増税は無用 ほか)/第3章 ニュースや新聞を深読みせよ(官僚の「天下り」を阻止せよ/「日経平均株価」は一万六〇〇〇円になる ほか)/第4章 モリタク流生活防衛のススメ(会社はビジネススクールと心得よ/生き残りたければ新聞の横読みをせよ ほか)
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