2015年9月20日 (日)

勝間和代さんの『猪口さん、なぜ少子化が問題なのですか?』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、少子化問題のことが分かるだけでなく、

その現象に映し出されている「近代」の本質と、

ポストモダンとしての21世紀型価値観にまで

話が及んでいて後半は特に面白い。

韓国や日本など出生率が回復しない国を

スーパーモダンに行きつつある国とし、

ヨーロッパのように出生率が回復している国を

ポストモダンに移行した国とする考察は

考えてみるべき視点であると思う。

そして、日本がスーパーモダンに行ってしまう

理由を自信がないから、特にアイデンティティに

対する自信を失ったままだからという意見は

興味深かった。

もちろん前半の少子化に対する直接の考察も

いろいろなことを考えさせられる。

特に次のような記述は心に残った。

『電車などでは、そこに、「周りのお客様にご迷惑に
ならないように、ベビーカーを折りたたんでください」
という放送が、かなり最近まで入っていました。
つまり、赤ん坊を連れているのは、「ご迷惑」な存在
だということなんですね。
その種の放送は、逆だと思うんです。むしろ、赤ちゃん
を連れている保護者に、周りの方はご迷惑にならない
ようにお気をつけくださいと言うぐらいの発想の転換が
必要です』

確かに、経済優先、効率優先の社会は、私たちに

幸福をもたらしはしなかった。

やはり、私たちは何か考え違いをしてきたのでは

ないだろうか。

不況が少子化の原因ではなく、少子化が原因の

長期的不況が近い将来やってくるかもしれないことを

私たちは覚悟しなければならないのかもしれない。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 猪口さん、なぜ、少子化対策が必要なのですか?―猪口×勝間/第2章 なぜ、少子化になっているんでしょうか?―猪口×勝間/第3章 勝間さん、ワーキングマザーって、そんなにたいへんなんですか?―勝間/第4章 で、猪口さん、具体的には、どんな政策をとるんですか?―猪口/第5章 二十一世紀のワーク・ライフ・バランスに向けて―猪口×勝間

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2015年9月 5日 (土)

勝間和代さんの『会社に人生を預けるな』を再び読んでみた

 (5つが最高)

この本を以前に読んだときは、リスクリテラシーを
高めるために国レベルで行う勝間さんの3つの
提言のうち、以下の③について次のように取り上げた。

『 ①源泉徴収・年末調整制度の見直し
 ②道州制の導入
 ③終身雇用制の緩和

中でも、さまざまなリスクの根底にあるのが、

「終身雇用制度」であると主張している。

これまで以上にリスクにさられている日本の現状、

特に政治の停滞・経済の停滞・労働問題の

解決策を探れば探るほど、その最大の原因は

「終身雇用制度」に問題の核心があるとする。

どうしてかという部分は、この本の中心をなしているので

各自で読んでいただきたいと思うが、

この主張には明らかなタイミングの悪さと

勝間さんの経歴への嫉妬から来る反発が

強烈な批判を形成してしまっているように思う。

世間では非正規社員の雇用問題をどうするか、

どうしたら正規社員になり下流から抜け出せるか、

リストラされないためにはどうしたらいいのか、

ということが話題になっているのである。

勝間さんの『無理なく続けられる 年収10倍アップ

勉強法』が売れたのも、年収を10倍にするため

というよりは、いかにすればリストラされない優秀な

社員になれるのかという涙ぐましい努力の1つの

指針であったはずなのだ。

確かに『金持ち父さん』シリーズでもサラリーマンの

ままでは金持ちにはなれないので、起業することが

薦められている。

勝間さん自身も起業して雇われない生き方を選択

できているので「終身雇用制度」に諸問題の原因が

あると考えているのだろうが、事実そうだとしても、

サラリーマンにとっての最大のリスクは

やはり目先のリストラなのだ。

社会が良くなる前に自身の生活が改善しなければ

やっていけないというサラリーマンは多いはずだ。

ましてや能力の高くない人間にとって

終身雇用制の緩和は明らかに劇薬だ。

勝間さんが本当に社会を良く変えていこうと考えて

いるのなら、平均からそれ以下の人(要するに社会の

半分の人)に、いかに自説を納得してもらえるかが

課題になってくるように思う。』

私は今、勝間さんに納得のいくような説明を求めない。

理由は簡単で、私自身がリストラされてしまったからだ。

この本を読んだ5年前から、私は自分がリストラされる

危機感と、それでもどこかで自分の能力を過信する

ところがあったのだろう。

しかし、現実は単純であった。

リストラは、能力の高低とは関係なく、誰にでも

訪れる可能性のあるものである。

そのことも5年前から分かっていた気がする。

ただ、自分にだけは訪れないと漠然と考えていた。

勝間さんはエピローグで次のように書いている。

『「リスクは一生の友」、そして「リスクはチャンス」』だと。

「リスクは一生の友」だということは、身にしみている。

「リスクはチャンス」だと言える日が自分にも来るもの

なのか、それはまだ分からない。

この本を読んで、他人事だと思える人は幸せである。

けれど、何かを始めようと思える人は、もっと幸せな

人なのかもしれないと、再読して思う。

【目次】(「BOOK」データベースより)
プロローグ リスク・リテラシーと終身雇用制
第1章 会社に人生を預けるな(終身雇用制は現代の小作農、または奴隷制/終身雇用制とワーク・ライフ・バランス/さまざまな歪みの原因/女性は働きにくく、若者は報われない)
第2章 リスク・リテラシーを磨く(なぜ、貯蓄から投資が進まないのか/日常生活に潜むリスク/リスクは常に偏在する)
第3章 「お上」に人生を預けるな(「お上」中心主義/日本の巧みな支配構造/現代資本主義が抱えるリスク/リスクを予見する能力)
第4章 21世紀のパラダイムシフト(人生はコントロールするもの/日本が導入すべき三つのもの/よりよく生きるために/問題解決の鍵)
エピローグ リスクを取る自由 ※参考文献、及び推薦図書

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2012年2月18日 (土)

勝間和代さんの『ズルい仕事術』を読んでみた

勝間さんの『ズルい仕事術』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、前著の『まじめの罠』の実践編(続編)。

前著では、「まじめ」だけでは通用しないということで

次のように「非まじめ」を薦めていた。

『でも、勘違いしないでください。では、ただ単に
「ふまじめ」でいいのかというと、それは間違いです。
「ふまじめ」と「努力しない」というのはまた別の話
です。また、怠惰であることを「ふまじめ」だと勝手に
解釈する人も多いのですが、それも間違いです。
この場合の「ふまじめ」というのは、「非まじめ」と
表現したほうが正確かもしれません』

そして、この本では「まじめの罠」にはまらないために

どのような努力をして、どのような技術(スキル)を

身に付ければ良いのかということが書かれている。

1.自己分析力
2.論理思考力
3.レバレッジ力

必要なのは3つの力と、そのバランスということである。

いたってシンプルな主張だが、少しわかりにくいのは

3つ目のレバレッジ力だろうか。

これは「自分以外の人の力を活用する」方法で、

特に「市場」「人脈」「IT」を利用すべきとされている。

ここで市場というのは、分かりやすく言えば「お金」

のことである。

『なぜ、お金がある程度あったほうが幸せになれる
確率が高いかというと、お金を使って、自分の人生
だけではなく、ほかの人の人生の成果も同時に楽しむ
ことができるというレバレッジをかけられるからです』

勝間さんらしい挑戦的タイトルではあるが、内容は

当たり前のことをきちんとやるべきということ。

『ズルい仕事術とは、限られた時間や能力を付加価値
のあるアウトプットに効果的につなげる仕事術』

ここには努力の否定もなければ、効率重視で全てを

犠牲にしてしまっても良いというような発想はない。

私たちが努力を認めてもらいたいと主張するときの

ほとんどが結果が悪かったときではないだろうか。

だから結果に対して責任を問われない公務員は、

初めから努力賞狙いで長時間労働になってしまう

のかもしれない。

現在まじめに頑張って上手くいっているならそれで

良いが、頑張っても報われずに悩んでいる人は

少し肩の力を抜いて自分の得意なことに集中して

みるといいのではないだろうかと思われる。

今悩んでいる人にこそ、この本を読んでみることを

オススメする。

【目次】(「BOOK」データベースより)
はじめに(なぜズルさが必要なのか?/あなたの生産性を阻む5つの病状 ほか)/第1章 「ズルい仕事術」を支える3つの柱(3つの力のかけ算とバランスが大事/ズルい人とズルくない人のいちばんの違いは? ほか)/第2章 ズルい仕事術を支える柱1・自己分析力(気づきその1・自分の判断はあてにならないということを徹底して知ろう/気づきその2・「しょせん、自分ができることなんて限られている」 ほか)/第3章 ズルい仕事術を支える柱2・論理思考力(論理思考力を構成する3つの力その1・正しく課題を設定する能力/論理思考力を構成する3つの力その2・課題に対して仮説をしっかりとつくる能力 ほか)/第4章 ズルい仕事術を支える柱3・レバレッジ力(レバレッジ力その1・市場をレバレッジする/レバレッジ力その2・人脈をレバレッジする ほか)/おわりに ズルい仕事術とは、「自分をいつも見つめ直し」「常識を疑い」「運のいい人になる」こと

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2012年1月29日 (日)

勝間和代さんの『まじめの罠』を読んでみた

勝間さんの『まじめの罠』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、まじめに生きてきた人のための本である。

「ふまじめ」な人がいくら読んでもまったく意味がない。

また、まじめな人がこの本を読んだだけで、突然に

まじめの罠から抜け出せるようになるわけでもない。

勝間さんも「はじめに」の中で次のように書いている。

『これまでまじめだった人に、いきなり「まじめに
なるな」と言っても、それは無理な話です。また、
まじめと一口に言っても、まじめの中にも残さな
ければならない大事なものはあります。
私たちは、ついつい「まじめの罠」に陥ってしまい
ます。私もそうです。でも、そんな自分も認めつつ、
同じようなことに悩んでいる方の一助になればと
思ってこの本を綴ります』

では、まじめな人がどのように「まじめの罠」から

抜け出すようにしていけばよいのか。

そもそも、どのようなものが「まじめの罠」であり、

どのような危険があり、どんな害毒を撒き散らして

いるのか、勝間さんなりの解釈でいろいろな事例

が紹介されている。

正直なところ、この事例の部分は異論なしとしない

けれど、まあ読んでみていろいろと感じられれば

それで良いと思う。

勝間さん本人について書かれた部分は、これはもう

お決まりのサービスだと思って、ファンやアンチ以外

は特に気にしなくてもよいだろう。

それでは、「まじめ」にやってきた人が、ただ単に

「ふまじめ」になれば問題は解決かといえば、

もちろんそんなことはない。

勝間さんもその点は注意深く次のように書いている。

『でも、勘違いしないでください。では、ただ単に
「ふまじめ」でいいのかというと、それは間違いです。
「ふまじめ」と「努力しない」というのはまた別の話
です。また、怠惰であることを「ふまじめ」だと勝手に
解釈する人も多いのですが、それも間違いです。
この場合の「ふまじめ」というのは、「非まじめ」と
表現したほうが正確かもしれません』

勝間さんは、分かりやすく物事の本質をつかむため

この本の中でさえも「ふまじめ」を目指してほしいと

書いているが、正しくは「非まじめ」である。

「ふまじめ」になれと言われると抵抗がある人は

ぜひ「非まじめ」と読み替えてみてもらいたい。

では、どうすれば「まじめの罠」に陥らずに

「非まじめ」というものを目指せるのかという

解決策は、第4章に 「まじめの罠」に対する処方箋

として、以下のようにまとめられている。

①失敗を恐れるな
②問題設定そのものを疑え
③動物的な勘、身体感覚を養え
④独立した経済力を持て
⑤自分のまじめさや常識を疑え
⑥正しい自己認識を持て

この中で多くの人にとって最も難しいのが④である。

ポータブルスキルを磨くことと、いつでも同じ生活が

できるように勇気とスキルを身につけ、それが難しく

ても常にそういう意識を持ち続けることが重要だと

勝間さんは書いている。

この点は勝間さんのほかの本にもいろいろと書かれ

ているので、そちらも参考にしたい。

蛇足、P169のL9の「訓練機関」は「訓練期間」の

誤り。(こんな細かい指摘は「まじめ」すぎるけど、

「どうでもいいじゃん」という本に誤字がないほうが

カッコイイ!けど、これも「まじめの罠」か?)

最後にもう一つだけ、この本の現在における価値に

ついて述べておきたい。

それは日本が20年もの長きにわたって不況の中に

あることで、ただまじめなだけでは生きにくくなって

しまったということである。

高度経済成長時には、たとえ間違った努力でも、

まじめにさえやっていれば、多少のマイナス幅を

景気のプラス分が埋めてくれるだけでなく、おつりが

来たため、誰であれそれなりに報われたのだ。

もちろん統計的にはこの20年の中にも、戦後最長の

好景気が含まれているが、実感なき好景気は、

まじめなだけの人までも救うには至らなかった。

そうであれば、現在まじめに頑張っても報われずに

悩んでいる人は多いのではないかと思われる。

そんな人は、この本を読んでみることをオススメする。

それでもなお、まじめに生きていきたいというのも

1つの考え方であるが、少し肩の力が抜ければ、

それもまたこの本の効用ではないだろうか。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 「まじめの罠」とは何か、そして、なぜ「まじめの罠」はあなたにとって危険なのか(「まじめの罠」とは何か/「まじめに生きる人生」は「幸せな人生」か?)/第2章 あなたが「まじめの罠」にハマってしまうメカニズムを理解しよう(「まじめの罠」を生む外部要因ー日本社会式エコシステムの存在/「まじめの罠」を生む内部要因ー「まじめ」に特化したことによる大局観不足)/第3章 「まじめの罠」の害毒(「まじめの罠」が当事者に与える害毒/「まじめの罠」が社会に与える害毒)/第4章 「まじめの罠」に対する処方箋(失敗を恐れるな/問題設定そのものを疑え ほか)

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2012年1月24日 (火)

勝間和代さんの『つながる力』を読んでみた

勝間和代/広瀬香味さんの『つながる力
ツイッターは「つながり」の何を変えるのか?』を読んでみた

 (5つが最高)

勝間ファンの私でもさすがにこの本を買うことはないと

思っていたけど、遅ればせながらツイッターを始めて

みて壁にぶつかり、この本のお世話になることに。

インターネットで人生を変えるというコンセプトは、

もともと勝間さんの本から得たものだが、それにしても

リターンを得るまでにはなかなか大変なのだという

ことが分かってきた。

この本にもあるとおり、ツイッターをずっと避けてきた

理由は単純に、情報の性質がブログはストックなのに

対して、ツイッターはフローで流れてしまうため。

追っている時間がサラリーマンの自分にはないと考え、

ブログも自分の情報整理の場としてきた。

けれど、意外なところで状況が変わることに。

3.11の震災の際にメールがまったくつながらず、

家族とも連絡が取れないときに、ネットはつながって

いたということを聞いて、SNSもありなのかもと考え始め

実名で登録することが一般的なフェイスブックよりは

匿名でも構わないツイッターでもやってみるかと。

気になる人のツイッターのタイムラインを眺めているうち

自分も話しかけてみたいと、ついに参加を決意。

ところが、話しかけることはあっても、発信する情報が

まったく思いつかない。

しかも、勝間さんがこの本で指摘しているとおり、

次のような課題にぶつかる。

①楽しむにはある程度のITリテラシーが必要
②意外と難しいコミュニケーション

そして何よりも、フォローされないので、つまらない。

対応策もこの本に書かれてはいるが、すぐに効果が

得られるものでは当然ないらしい。

けれど、広瀬さんのゆるーい解説にもあるとおり、

「自分のタイムラインは自分の責任」というのは納得。

誰をフォローするかや、どんな発言をするかで、

フォローしてくれる人も決まってくる。

エロと商品の売込みくらいしかフォローワーがいない

現状だけど、もう少し続けてみるかと思わせてくれる

という意味では、読んで良かった1冊。

【目次】(「BOOK」データベースより)
1時間目 広瀬香美が教える!ツイッターをはじめよう!/2時間目 勝間和代のソーシャルコミュニケーション論 ツイッターは「つながり」の何を変えるのか?/3時間目 勝間和代が教える!ツイッター・使いこなしの10ステップ 初級編/4時間目 勝間和代が教える!ツイッター・使いこなしの10ステップ 中級編/5時間目 対談:広瀬香美×勝間和代 ツイッター、いったいどこが面白いの!?/6時間目 特別対談:ビズ・ストーン×勝間和代 創業者にツイッターの展望をきく&サンフランシスコ本社訪問レポート

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2011年9月26日 (月)

勝間和代さんの『高学歴でも失敗する人、学歴なしでも成功する人』を読んでみた

勝間さんの『高学歴でも失敗する人、
学歴なしでも成功する人』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、「頭がいい」といわれている人たちを

アカデミック・スマートとストリート・スマートに分け、

ストリート・スマート力を持っていないアカデミック・

スマートだけの人は淘汰されていくとしている。

確かに学歴だけ高くて使えない人間というのは

多いが、学歴なしなのに使える人間というのは

そんなにも数が多いものなのだろうか。

ストリート・スマート力を持っているなら、どうにか

してアカデミック・スマートも身に付けるのではない

だろうか。

ただ、私の今回のこの本の楽しみ方は「学歴」

などというところにはなく、次のような箇所であった。

『多くの日本人は、数字と数字を組み合わせた瞬間に
頭がフリーズしてしまって、議論にならなくなってしまう
のです。インフレになると金利が上がって国債の支払い
が滞るという論もよくありますが、インフレになっても、
金利を上回って税収が上がれば、滞ることはありません』

勝間さんがよく言っているようにインフレを引き起こす

ことができるとしても、ではどのようにして税収を増やす

のかということは、まったく分からないままである。

逆に言えば、税収を増やす方策があるならインフレは

必要ない気がするし、インフレにすることで税収が

必ず増えるなどということが言えるとは思えない。

この本は、別に経済について論じた本ではないので

このことについて詳しく書いていないからといって

どうということはないが、もし勝間さんが「多くの日本人

は、数字と数字を組み合わせた瞬間に頭がフリーズ

してしまって、議論にならなくなってしまう」から説明

などいらないのだと考えているとするなら、悲しむ

べきことである。

勝間さんには、これからもフリーズしそうになる頭を

無理やりにでも揺さぶってもらいたいものである。

【目次】(「BOOK」データベースより)
序章 頭がいい生き方のすすめ(ストリート・スマート/マッキンゼーの入社試験で見られていることは ほか)/1章 頭がいい人の7つの習慣(ものを概念化する癖がある/切れ味のいい「オッカムのカミソリ」を持っている ほか)/2章 頭がいい人の7つのスキル(決して情報を鵜呑みにしない/例外処理が得意 ほか)/3章 新しい考え方をもたらす7つの視点(知的な継続した興味/クリティカル・シンキング ほか)/4章 頭をよくする7つの方法(知識・教養を楽しみながら習得し続ける/「概念のボキャブラリー」を増やす ほか)

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2011年6月26日 (日)

勝間和代さんの『勝間さん、努力で幸せになれますか』を読んでみた

勝間和代/香山リカさんの
『勝間さん、努力で幸せになれますか』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、正直言って読んでいて不愉快になる。

扱われている問題が重要なことも、論じている

2人への信頼感があることも、まったく関係ない。

とにかく、香山さんの立ち位置が不自然すぎる。

まず、『しがみつかない生き方』で、ふつうの幸せを

手に入れるためには「“勝間和代”を目指さない」と

書いた香山さんに、勝間さんが書いた動機を

質問したときの答えは、編集者の注文ですというもの。

香山さんとしては、精神科医として頑張りすぎて

病気になってしまう人たちを診てきた経験から

あえて言っておきたいということで、覚悟をもって

対談に臨んだと思うのだが、その立ち位置は

まったく納得のいくものではなかった。

そして、香山さんの主張は、どうヒイキ目に見ても

頑張らない人の代弁者というよりは、自堕落な

自分の正当化というもの以外ではなかった。

なぜ、この社会の犠牲者ともいうべき患者の代弁者

ではなく、香山さん自身が努力しない人として、

努力して成功したとされている勝間さんに

対したのか私には理解しがたい。

また、このような香山さんの立ち位置を

多くの番組でコメンテーターとして活躍する

精神科医のものとして納得できる人は

あまり多くいるとは思えない。

病気の人という例外的な人を出してくることに

香山さんなりの抵抗があったのかもしれないが

努力もせず医者になり、多くの著作の中で

かなりの読書量であることが明らかなコメントを

しておきながら、実はプロレス好きなだけの

怠け者なんですと言われても、納得がいかない。

そのため、どこまで勝間さんが丁寧に説明をしても

香山さんの質問がヘリクツのように感じられて、

議論についていけない。

ところどころで、勝間さんが今までの主張を

修正してまで、議論に応じている点は読んでいて

好感が持てたが、議論そのものには正直なところ

深さが感じられなかった。

ただ、1つこの本に救いがあるとすれば、

「あとがきにかえて」書かれた香山さんから

勝間さんへの手紙の結びでは、今後ますます

2人の距離が離れる一方で、ひとつのテーブルを

はさんで話す機会など、もうないかのように

語られていることに反して、お互いに交流が

あるらしいことだ。

勝間さんには、今回の批判を受け止めた上での

新しい展開を期待したいし、香山さんには、

もっと物言わぬ弱者の目線からの今までどおりの

優しさにあふれた展開を期待したい。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 “勝間和代”は成功者のアイコンか/第2章 ふつうの幸せとは何か/第3章 努力は楽しいか苦しいか/第4章 仕事で幸せは得られるか/第5章 女と結婚と幸せ/第6章 教育と政治で幸せはもたらせるか

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2011年3月11日 (金)

勝間和代さんの『人生を10倍自由にするインターディペンデントな生き方実践ガイド』を読んでみた

勝間さんの『人生を10倍自由にするインターディペンデントな
生き方実践ガイド「自立」から「相互依存」へ』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、勝間さんの原点である『インディでいこう!』

の続編的位置づけをもつ作品である。

以前の勝間さんが提唱していたインディな女性像は、

①年収600万円以上を稼ぎ(経済的自立)、
②いいパートナーがいて(精神的自立)、
③年をとるほど、すてきになっていく

「精神的にも経済的にも依存しない生き方」だった。

しかし、今回の「インタディ」という人間像は、

インターディペンデント=相互依存できる人のこと。

これはインディペンデント=自立している人をさす

「インディ」と同様に勝間さんの造語である。

インターディペンデント(interdependent)と、

インディペンデント(independent)では、

たった3文字(ter)しか違いはないが、その3文字に

重要な意味が込められている。

まず、「相互依存」とは、共通の価値観に基づき、

同一の目標の実現を目指して、複数の自立人が

共生する関係のことである。

これは、依存→自立→相互依存という関係にあり

勝間さんが多くのところで紹介している本に拠っている。

そして、相互依存のための具体的な条件は2つ。

①経済的相互依存 プロとしての自覚がある
②精神的相互依存 自己尊厳を有し、周りにも寛容

また、相互依存になるための想像力を豊かにする

条件を式に表すと次のとおり。

豊かな想像力(見えないものを見る力)
=知識を集める努力×試行錯誤を重ねる努力

だからこそ、勝間さんは速読を学びインプット

そのものではなく、それを得るためのプロセスを

効率化しているのだ。

そして、相互依存のためには互いに尊敬しあえる

対等な人間関係を作れることが重要だが、

その意味は3つあるということである。

①自分のいいところを知り、相手のいいところも
 すぐに想像できること
②立場の違いがあったとしても、対等であること。
 上下関係にならないこと
③相手をコントロールしようとしないこと。
 相手を裁こうとしないこと

このようにして、周囲の人間と相互依存の関係を

築くことが出来るようになると、成功者が口にする

「運」の実態というのが、実は相互依存のことで

あるということが分かってくるということだ。

今現在、自立することに汲々としている人にこそ

読んで欲しい1冊である。

【参考文献】
『ツイッターノミクス』 タラ・ハント 文藝春秋
『つながり』 ニコラス・A・クリスタキス ジェイムズ・H・ファウラー 講談社
『人を助けるとはどういうことか』 エドガー・H・シャイン 英治出版
『10-10-10』 スージー・ウェルチ 講談社
『交流分析のすすめ』 杉田峰康 日本文化科学社
『ゆるしのレッスン』 ジェラルド・G・ジャンポルスキー サンマーク出版
『頭のでき』 リチャード・E・ニスベット ダイヤモンド社
『その科学が成功を決める』 リチャード・ワイズマン 文藝春秋
『それでもなお、人を愛しなさい』 ケント・M・キース 早川書房

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1部 わたしたちはひとりで生きているのではなく、まわりの人と生かし合っている!-自立(インディペンデント)から相互依存(インターディペンデント)へ/第2部 インターディペンデントのためのスキルを身につけよう!-「想像力」を土台に、「よりじょうぶな心」と「もっと学び続ける力」を(インターディペンデントの土台は「想像力」/よりじょうぶな心/もっと学び続ける力)

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2011年2月 7日 (月)

勝間和代さんの『勝間和代・脳力UP』を読んでみた

勝間さんの『勝間和代・脳力UP 一日5分!
「携帯パズル」でみるみる頭がよくなる!!
』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、小さい頃からパズルが大好きだったという

勝間さんのエンタテインメントなビジネス書である。

内容としては、前半に変化が激しく厳しい経済環境を

生き抜くために必須の思考法として立体思考力を挙げ

それを論理思考力と水平思考力として分解し、数々の

ヒット商品や実例をもとに、その必要性と有効性を

分かりやすく解説している。

後半では、 論理思考力パズルと水平思考力パズルが

実際に用意されていて、勝間さんの立体的な思考法が

これ一冊で、身につくように工夫されている。

また、それぞれの思考法に対して解説もなされており

論理的思考力を構成する3つの思考力は、

「法則力」「当てはめ力」「数字力」となっている。

「法則力」とは具体的には帰納法のことであり、

「当てはめ力」とは演繹法のことであり、「数字力」とは

数字の分析力(小学生レベルの計算力)のことである。

さらに、水平思考力も「否定力」「展開力」「試行力」の

3つの思考力に分けることができる。

「否定力」とは常識を疑い、それを否定することであり、

「展開力」とは常識を否定した上で新しい思考を広げる

ことであり、「試行力」とは無関係に見える物事を

組み合わせて考えることである。

この中でも、普段使うことを意識していない水平思考力

については、創始者といわれるエドワード・デボノが

その身につく方法を紹介しているということで

勝間さんも4つ紹介してくれている。

①意識して複数の見方をするように心がけること
②物事の関係を意識的にひっくり返すようにする
③抽象的になりやすい問題は、より具体的な、
 類似した状況に置き換えて考えてみる
④重要な問題点となっている部分から、意識的に
 注意をそらし、あまり重要でないと思われる部分に
 注意を向ける

最後に、問題で1つ分からないものがあった。

133ページの「正直者の部屋とウソツキの部屋」と

いう問題だが、ウソつきは必ずウソをつくという場合

2番の女性は「1と3はどちらも○」と言っているが、

これがウソだとすると3は×となる気がするが

答えでは3は○であり、そうしないと矛盾が生じる。

ちなみに1は×であり、確かに「1と3はどちらも○」

というのは1についてはウソなので、2番の女性は

ウソをついているには違いないが、必ずウソをつく

という問題としては、何となく腑に落ちない。

面白い問題が多かっただけに、妙にここだけ

気になってしまった。

アマゾンなどでは、あまり評価が高くなかったので

読むかどうか迷ったが、やっぱり読んでみてよかった。

脳力がUPするかは分からないけど、いろいろな考え方

に触れられる点と、パズルそのものが楽しいので

私としては満足の1冊だった。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 青山のあるフレンチレストランの秘密
第2章 「立体思考力」を身につけると仕事が楽しくなる
第3章 勝間和代の立体思考力が出来上がるまで
第4章 論理思考力パズル─法則力、当てはめ力、数字力を鍛えるトレーニング
第5章 水平思考力パズル─否定力、展開力、試行力を鍛えるトレーニング

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2011年1月31日 (月)

勝間和代さんの『不幸になる生き方』を読んでみた

勝間さんの『不幸になる生き方』を読んでみた

 (5つが最高)

この本は、不幸になる生き方のパターンを知り、それを

徹底的に避ける技術を読者に磨いてもらうことを

1つのゴールとした幸福の技術指南書になっている。

実際に幸福を呼ぶ行動習慣を身につけて、不幸な日々

から脱出したという勝間さんが、「自分の軸」を持って

人生を生きるための技術が書かれていて参考になった。

特に個別理論編の7つの法則の解説は具体的。

①有責の法則
 人生に責任を持つこと。
 人生の幸福度はリスクを上手く管理できたかによる。
 ・リスク管理の3つのステップ
 1.リスクを洗い出す。
   しかしリスクはゼロにはできないと知る。
 2.リスクを取って得られるリターンが、十分かどうか
   考え、さらに今の自分でとれるリスクかどうかを
   質と量の両方の観点から考える。
 3.リスクの制御方法を考え、実行中は今、
   起きている状況のモニターを怠らない。
 ・「有責の法則」を味方につけるアクション・プラン
 入門編 小さな約束を徹底的に守る
 初級編 迷ったときには、リスクの高いほうを選ぶ
 中級編 日常のリスクを点検し、リターンと比較
 上級編 顧客接点のある仕事、数字で結果が出る
      仕事に積極的に参加
 おまけ 信頼に足る人間であるというシグナルを出す

②双曲の法則
 目の前の利益にとらわれないこと。
 双曲割引とは、目先の満足度に比べて、将来の
 満足度は極端に軽く見えてしまうということ。
 10分、10ヵ月、10年スパンで考える。
 ・「双曲の法則」を味方につけるアクション・プラン
  コツコツ型のスポーツを生活に取り入れる
  依存性のある行動を避ける

③分散の法則
 不確実なリスクを分散してコントロールすること。
 理想のワーク・ライフ・バランスをイメージする。
 ・「分散の法則」を味方につけるアクション・プラン
  月に5人は、仕事以外の人と食事をする
  妻に、夫に、家族に手紙を書く
  金融の分散投資を始めてみる
  手帳を活用して、多様な要素に時間配分して
  いるかチェックする
  NOT-TO-DOリストを作る
  時間節約に役立つ家電に詳しくなる

④応報の法則
 他人を非難することは、めぐりめぐって
 自分自身を孤立させてしまうということ。
 羨ましさを「学習」に転化する
 ・「応報の法則」を味方につけるアクション・プラン
  三毒追放(妬まない、怒らない、愚痴らない)
  三薬実行(褒めよう、笑おう、感謝しよう)
  不満は相手に直接話す
  非難体質の人に近寄らない

⑤稼動の法則
 まず行動すること。
 「行動」はPDCAサイクルの要
 失敗に慣れると学習や行動が加速する
 習慣化は行動コストをゼロに近づける
 「数打てば当たる」という割り切りが習慣化のヒケツ
 ・「稼動の法則」を味方につけるアクション・プラン
  自分のできないスポーツに挑戦してみる
  コミュニティ・ラーニングに取り組む

⑥内発の法則
 不得意なものに時間をかけすぎず、
 自分の強みを生かすことに集中すること。
 強みの発見が自分比の幸福へとつながる。
 ・「内発の法則」を味方につけるアクション・プラン
 ミッション・ステートメントを作る
 自分の弔辞を書いてみる

⑦利他の法則
 他者に貢献すること。
 小さな利他行動から始めてみよう。
 ・「利他の法則」を味方につけるアクション・プラン
 互いに褒め合う
 PTAや地域の活動に参加する
 寄付をする

とにかく自己責任で行動を起こせということ。

そこからしか、幸福になる生き方は始まらない。

【参考文献】
ピーター・バーンスタイン 『リスク』
ジョージ・エインズリー 『誘惑される意思』
リチャード・ワイズマン 『その科学が成功を決める』
スージー・ウェルチ 『10-10-10』
山口一男 『ワークライフバランス――実証と政策提言』
野口嘉則 『鏡の法則』
畑村洋太郎 『失敗学のすすめ』

【目次】(「BOOK」データベースより)
全体理論編(不幸のループから抜けられない「他責の人」/自責(自己責任)とはリスクの川を渡ること/他責の人はなぜ失敗を嫌うのか)/個別理論編(有責の法則/双曲の法則/分散の法則/応報の法則/稼動の法則/内発の法則/利他の法則)

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